1 地上からの地質環境調査(ローカルスケール)
1_3 物理探査
ローカルスケール領域の岩盤の地質学的不均質性を把握することを目的に,空中自然放射能探査(1_3_1),空中物理探査(ヘリコプターによる空中電磁探査(1_3_2)および空中磁気探査(1_3_3)),地上物理探査(弾性波探査(1_3_5),高密度電気探査(1_3_6),MT法とCSAMT法による地上電磁探査(1_3_7))を実施しました。
得られた主な知見
ローカルケール領域における物理探査により,以下の地質環境に関する知見を得ました。
- ローカルスケール領域のほぼ全域に分布している瑞浪層群の堆積構造,土岐花崗岩の分布やその境界(不整合)の概略的な位置を推定(1_3_1,1_3_2,1_3_3,1_3_7)。
- LANDSATおよびSPOT画像,空中写真(4万分の1)から抽出されたリニアメントの一部(断層や節理に対応すると言われている3km以上の長さのリニアメント)は,弾性波探査でも不連続構造として認知され,実際に断層や節理である可能性が高いと推定(1_3_5,1_3_6)。
- 月吉断層の位置に関して,反射法弾性波探査の結果に基づき,既存地質図で推定されていた分布位置を更新(1_3_8)。
利用した物理探査技術は確立したものであり,空中物理探査では,短期間に広範囲の既存情報に基づく広範囲の地質学的情報を確認することができ,地上物理探査では,その確からしさを向上することが可能です。ただし,物理探査結果の解釈(例えば,反射断面から抽出された反射面と地層境界などの対応付けなど)に際しては,ボーリング孔を利用した調査(1_5)で取得される層序/岩相データなどにより更に確認することが必要となります。

実施した物理探査の概要
参考文献
- 核燃料サイクル開発機構 (2005): 高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する知識基盤の構築-平成17年取りまとめ-分冊1 深地層の科学的研究,JNC TN7400 2005-014,415p.