1 地上からの地質環境調査(ローカルスケール)
1_2 既存情報の解析・評価
既存情報の解析・評価では,主にローカルスケール領域における地形,地質,大規模不連続構造の分布(1_2_1),地下水の水位や水質分布(1_2_2),広域的な応力場(1_2_3)や地温勾配分布(1_2_4)などに関する情報の整理を行いました。利用した情報は,既往公開文献,2万5千分の1地形図(国土地理院),国内ウラン探鉱ボーリング調査結果,LANDSAT画像(20万分の1),SPOT画像(10万分の1),空中写真(4万分の1,1万分の1)などです。
得られた主な知見
概略的な地質分布,断層や節理の可能性のある地質構造の分布,可能性のある地下水水質型,広域応力場,地熱活動の有無などに関する基盤情報を整理しました。既存情報で確認された地質環境は以下のとおりです。
- 基盤岩類(土岐花崗岩)を新第三紀の堆積岩(瑞浪層群)が被覆する概略的地層分布
- 断層や節理に対応する可能性がある長さ3km以上のリニアメントの分布(1_2_1)
- 領域北側と南側(土岐川周辺)の温泉水の水質(それぞれ,Na,HCO3イオンに富む地下水とNa,Ca,Clイオンに富む地下水)(1_2_2)
- 東濃地域における広域応力場の最大主応力方向(NW-SE方向)(1_2_3)
- 火山地帯を除いた全国平均値とほぼ同等の地温勾配(2~3℃/100m)(1_2_4)
解析で使用した「国内ウラン探鉱ボーリング調査結果」はウラン探鉱が行われた地域でしか取得されていませんが,これを除いた既存情報は他の花崗岩地域でも収集できることから,同様の手順で地質環境の基盤情報の整理を行うことが可能です。