1 地上からの地質環境調査(サイトスケール)
1_11 地下施設建設前の地質環境モデルの構築と予測解析
サイトスケール領域における地上からの地質環境調査の結果に基づき,サイトスケールにおける地質構造モデル(1_11_1),水理地質構造モデル(1_11_2),地球化学モデル(1_11_3)ならびにブロックスケールの岩盤力学モデル(1_11_4)を段階的に更新しました(更新のステップは1_7を参照)。また,これらのモデルに基づき地下水流動解析や応力・掘削解析などを実施し,研究坑道の掘削に伴う地下水流動の変化(1_11_6),地下水の化学環境の変化(1_11_7)および岩盤変位(1_11_5)などを予測しました。
得られた主な知見1)
地下施設建設前の地上からの地質環境調査において,調査の進展に伴い段階的にモデルの構築・更新を繰り返し行い,調査の進展に伴う情報の種類・量と地質環境の理解度や調査の達成度との関係を順次評価することで,地質環境の不確実性とその低減過程を確認し,次のステップの調査における課題を明確にしてその調査計画に反映することができることを確認しました。このようなプロセスにより,時間や予算などの制約条件あるいは環境への影響を考慮し,調査の項目や手法の最適化および合理化を図った調査計画を策定することが重要であるとともに,データの品質を保証する品質保証体系と実施体制作りが不可欠であることも確認しました。
参考文献
- 三枝博光,瀬野康弘,中間茂雄,鶴田忠彦,岩月輝希,天野健治,竹内竜史,松岡稔幸,尾上博則,水野崇,大山卓也,濱克宏,佐藤稔紀,久慈雅栄,黒田英高,仙波毅,内田雅大,杉原弘造,坂巻昌工 (2007): 超深地層研究所計画における地表からの調査予測研究段階(第1段階)研究成果報告書,JAEA-Research 2007-043,pp.128-157.