超深地層研究所計画について
東濃地科学センターでは,地層処分技術に関する研究開発における深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として,岐阜県瑞浪市において超深地層研究所計画1)を進めてきました(図1)。超深地層研究所計画における研究開発の実施期間は,1996年度から2019年度までの約24年間です。本計画の研究開発は,結晶質岩(花崗岩)を対象に,深部地質環境の調査・解析・評価技術および深地層における工学技術の基盤の整備を全体目標に掲げて,計画全体を3つの段階に分けて実施されました(図2)。各段階の実施概要は以下の通りです。
- 第1段階:地表からボーリング調査や物理探査などを実施し,地下深部の地質環境を予測
- 第2段階:研究坑道を掘削し,地下深部の地質環境を直接確認することにより,第1段階で適用した調査解析技術を評価するとともに,坑道掘削に伴う地質環境の変化の把握および坑道掘削技術などの工学技術を実証
- 第3段階:研究坑道を利用して,地質環境の詳細な研究および坑道の維持・閉鎖に伴う地質環境の変化の把握,坑道維持・閉鎖に係る工学技術を実証
超深地層研究所計画においては,深度1,000mまで調査可能な地下水調査機器の開発や地質環境のモデル化などの地質環境の調査解析技術,ならびに坑道掘削や坑道閉鎖に伴う地下水の水圧・水質などの変化をとらえるための調査・評価技術を開発整備してきました。また,研究坑道の建設工事を通じて坑道を建設・維持するための工学技術を開発するとともに,日本特有の地質環境に係る科学的知見などを蓄積しました。
本サイトでは,超深地層研究所計画に先立って実施した広域地下水流動研究※1,2)を含め,超深地層研究所計画の調査研究成果を取りまとめました。


用語解説
- ※1 広域地下水流動研究
- 広域における地表から地下深部までの地質・地質構造,岩盤の水理や地下水の水質を明らかにするために必要な調査解析技術などの開発を目標とした調査研究
参考文献
- 東濃地科学センター 地層科学研究部 (2015): 超深地層研究所地層科学研究基本計画,JAEA-Review 2015-015,39p.
- 尾方伸久,濱克宏,太田久仁雄 (1997): 広域地下水流動研究基本計画書,動力炉・核燃料開発事業団,PNC TN7020 98-001,12p.