1_2_4 地温勾配情報の整理
達成目標

地下施設の建設に先立って,地下坑道周辺の熱特性や水理状態の把握のための基礎的な情報として,地温に関するデータを収集・整理することを目標とします。

方法・ノウハウ

①データセット:

熱特性のデータとして,地質調査所(1991)1)によって地熱調査の坑井データが地熱情報データベースに収録されており,深度が100mより深い321本の坑井データが坑井ごとに図表に編集されています。

地下の温度環境については,日本全国の坑井データをもとに編集された地温勾配図2)が取りまとめられています。

②データの解釈:

取得した情報を,火山地帯を除いた全国平均値(3℃/100m)と比較することにより,地温勾配の特徴を把握することができます。

東濃地域における実施例

地温勾配分布を把握するために,日本全国の坑井データをもとに編集された地温勾配図2)などを収集しました。

地温勾配図に基づくと,中部地方において地温勾配は2~3℃/100mとなっており,火山地帯を除いた全国平均値3℃/100mとほぼ同じです(図1)。この結果から,東濃地域における地温勾配は2~3℃/100mであると考えられました。

なお,東北や九州地域では10℃/100mとなる高温の場所が連続的に分布しており,このような高い地温勾配の分布は火山地域の分布と対応していることがわかります。

日本各地で得られたボーリング孔(坑井)内の地温データを色分けし,日本地図にプロットした図。東濃地域が位置する中部地方は,火山地域を除き,地温勾配が2~3℃/100mであることが示されている。
図1 わが国における地温勾配分布と頻度分布
参考文献
  1. 地質調査所 (1991): 日本の地熱調査における坑井データ,その1,コア計測デ-タ -物性,地質層序,年代,化学組成-,地質調査所報告,第271号.
  2. 矢野雄策,田中明子,高橋正明,大久保泰邦,笹田政克,梅田浩司,中司昇 (1999): 日本列島地温勾配図,通商産業省工業技術院地質調査所.

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