水素・熱利用研究

  1. ホーム
  2. 研究開発
  3. 水素・熱利用研究

水素・熱利用研究

我が国は2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする)の実現を目指しています。現在、主なエネルギー源として利用されている化石資源の使用に伴い主要な温室効果ガスであるCO2の8割以上が産業(工場等)・運輸(自動車等)・エネルギー転換(発電等)分野から排出されていることから、これら分野での化石資源使用削減の取り組みが重要になります。
 水素は、これら、産業・運輸・発電の分野での利用が期待されていますが、カーボンニュートラルの実現に寄与するためには、大量のカーボンフリー水素が必要です。カーボンフリー水素は、水を原料としてこれを分解して水素を取り出す方法や化石資源に含まれる水素を取り出しつつ、同時に炭素を分離・隔離する方法で製造することができます。原子力機構はこれら製造過程に必要なエネルギー源として脱炭素熱源である原子力を用いることで、大規模・安定的・経済的な水素製造技術の確立を目指しています。

カーボンフリー水素によるカーボンニュートラルへの貢献

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(令和3年6月18日経済産業省策定)において、重要分野における「実行計画」として、原子力産業における高温ガス炉に係る工程表が示されました。原子力機構は、この工程表を受け、HTTR-熱利用試験及びカーボンフリー水素製造技術の研究開発に取り組んでいます。
HTTR-熱利用試験では、脱炭素高温熱源(高温ガス炉)を水素製造に活用するための、高温ガス炉と水素製造施設の高い安全性を実現する接続技術(原子炉から水素製造に必要なエネルギーを供給)を確立する予定です。
カーボンフリー水素製造技術の研究開発では、高温ガス炉の高温熱で硫黄とヨウ素を用いた化学反応を駆動して水を分解する熱化学水素製造法ISプロセスの実用化に向け、プロセスの運転制御技術や水素製造効率向上技術の研究開発を進めています。
 2030年以降、カーボンフリー水素製造設備と高温ガス炉の接続実証・実用化スケールに必要な実証を行い実用化に繋げていく予定です。

2050年カーボンニュートラル実現に向けた原子力機構の貢献