高温ガス炉の熱利用システムでは、ヘリウムガスタービンを用いた発電が可能です。ヘリウムガスタービンを用いることで、軽水炉の蒸気タービンに比較して、約1.5倍の発電効率(約50%)を達成することが可能です。
ヘリウムガスタービンの主要機器である圧縮機やメンテナンス技術に関する研究開発を行っています。圧縮機については、圧縮機設計手法を確立するとともに、スケールモデルを用いた実験により世界で初めて軸流式ヘリウム圧縮機の運転実証に成功しています。また、メンテナンス技術として、タービン翼への核分裂生成物(FP)沈着を低減可能な耐熱合金の開発を目標に、実験や数値シミュレーションを行い、タービン翼候補合金中の核分裂生成物同位体の拡散挙動の解明を目指しています。長期拡散試験の結果、提案中の手法によるFP拡散量抑制効果を初めて検証し、ガスタービン翼の候補合金を選定するとともに、翼の低コスト化に資する設計データを拡充しました。
- 参考文献
- 高田昌二 他、高温ガス炉ガスタービン発電システム(GTHTR300)用ヘリウムガス圧縮機モデルの空力性能試験計画、日本原子力学会誌、2 [3]、291-300 (2003).
- 今井良行 他、高温ガス炉に接続するヘリウムガスタービンの設計データ(改訂版)、JAEA-Data/Code 2017-011 (2017).
本研究は、旧電源開発促進対策特別会計法に基づく文部科学省からの受託事業として原子力機構が実施した「核熱利用システム技術開発」の平成17年度の成果の一部を含みます。