高温ガス炉の歴史
未来を切り拓く“超高温”革命
JAEAが挑んだ高温ガス炉(次世代革新炉)開発の軌跡
従来の原子炉(軽水炉)とは異なる「高温ガス炉」の研究開発を通じて、新しいエネルギー利用の可能性を追求してきました。その挑戦の歩みを年表でご紹介します。
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1969
JAEAの前身である日本原子力研究所が、新たな原子炉プロジェクトとして、多目的高温ガス実験炉の研究開発をスタート。
その内容は、原子炉から発生する熱を発電だけでなく、製鉄化学工業の分野などで必要とされる熱源にも利用できる高温ガス炉の開発でした。1973年、当時の通商産業省工業技術院のもと、実験炉と製鉄パイロットプラントを直接つなげる大きなプロジェクトが始まりました。
その名も「高温還元ガス利用による直接製鉄技術開発」。
第一段階では、熱に強く加工しやすい超合金の開発と、原子炉と製鉄所をつなぐ試験用工場の全体設計を行いました。一定の成果を出すまでに約6年の月日を費やしています。高温ガス炉のすべては、
多目的高温ガス実験炉プロジェクトから始まりました。1969年から始まった多目的高温ガス実験炉プロジェクトは、高温ガス実験炉の設計と関連技術の開発が主な課題でした。関連技術の開発では、大型構造機器実証試験ループ(HENDEL)、高温ガス炉臨界実験装置(VHTRC)、大洗ガスループ(OGL-1)などを活用。装置の頑丈さや、特殊な燃料(被覆燃料粒子)、高温熱に耐える材料などの研究を行いました。つまり、原子炉の設計から建設に必要なすべての技術をゼロから作り上げる研究が進められたのです。
高温ガス炉臨界実験装置 (VHTRC)
大洗ガスループ (OGL-1)
大型構造機器実証試験ループ(HENDEL)
材料試験装置 -
1986
社会情勢が変化していく中、高温ガス炉の開発の進め方を再検討。
その結果、高温ガス炉技術の基盤確立と高度化を図るため、高温工学に関する先進的な基礎研究が行えるHTTRを建設することが決まりました。 -
1989
この年の2月に、国へHTTRの設置許可を申請しました。
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1990
国から設置の許可を得て、翌年から建設に着手。1996年には据付工事を終わらせ、すぐに機能試験を行いました。
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1998
機能試験を繰り返す中、11月に初めて臨界を達成。また翌月には、設計通りにすべての燃料を詰め込んだ全燃料装荷炉心を完成させました。
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2004
原子炉出口冷却材温度950℃を達成しました。
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2007
原子炉出口冷却材温度を850℃に維持しながら、30日間の全出力運転を達成しました。
炉心の中心部 -
2010
原子炉出口冷却材温度を950℃まで上昇させながら、全出力運転を50日間続けることに成功。また、炉心流量喪失試験(出力30%)なども行いました。
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2014
東日本大震災後に制定された原子炉の新たな安全基準に適合させるために設置変更許可申請書を原子力規制委員会に提出しました。
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2020
新規制基準に基づく設置許可を取得することができました。
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2021
HTTRの運転を再開しました。
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2022
炉心冷却喪失試験(出力30%)を実施しました。
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2024
炉心流量喪失試験(出力100%)を実施しました。
安全性実証試験の結果
HTTRを用いた安全性実証試験として、原子炉の冷却ができない状態を模擬した試験(LOFC(Loss Of Forced Cooling)試験)を行いました。
実験結果
- 炉心流量がゼロになると、燃料温度がわずかに上昇し、ドップラー効果に起因する負の反応度が生じ、原子炉出力が自然に低下し、原子炉停止
- その後、制御棒を挿入していないため、炉心の温度低下と炉心に蓄積していたキセノンの崩壊により再臨界に至るが、原子炉出力は低レベルで静定
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2029
HTTR-熱利用試験を開始予定です。
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2030年代後半
実証炉の運転開始へ