高温ガス炉の実用化に向けて

水素製造に向けて

HTTR(高温工学試験研究炉)と水素製造施設の接続

日本原子力研究開発機構(JAEA)では、高温ガス炉による大規模・安定的・経済的な水素製造技術の確立を目指しています。では実際にどのようにして原子炉の熱で水素を作るのでしょうか。現在計画されている「HTTR-熱利用試験」を詳しく見てみましょう。

  • HTTR-熱利用試験計画

    計画の初期段階では、技術的に確立されている「メタン水蒸気改質法(天然ガス(メタン)から水素を取り出す方法)」を用いて、原子炉と接続する技術の実証を行います。

    まず1次ヘリウムガスが原子炉で950℃まで加熱され、中間熱交換器という装置で、熱だけを2次ヘリウムガスに受け渡します。その後、新しく設置される高温ヘリウム配管を通して、熱いガスが水素製造施設へ運ばれ、その熱を使って水蒸気改質器を温め、化学反応を起こして水素を作ります。

    熱を運ぶ流れ

    原子炉施設から水素製造施設へ熱を運ぶ流れの3Dイラスト。地下配管を通って熱が移動する様子を、「①原子炉で加熱」「②熱交換」「③輸送」「④水素製造」の4つのステップで、建物の断面とともに視覚的に示しています。
  • 最優先は“安全性”の確保

    「原子炉の隣で、燃えやすい水素を作るなんて危なくないか?」 不安に思う方もいるかもしれません。
    HTTR(高温工学試験研究炉)と水素製造施設は、安全のために距離を保ちつつ熱だけを運びます。
    万が一、水素製造施設で火災や爆発などのトラブルが起きたとしても、原子炉側には絶対に影響を与えないように設計する必要があります。 そのために開発されている重要な装置が高温隔離弁です。
    これは、水素製造施設側で異常が発生した瞬間に、原子炉とつながる配管を閉じて流れを止めるための弁です。
    今回の試験を通じて、こうした安全装置の性能を確認し、厳しい基準を持つ原子力規制委員会からの許認可取得を目指します。

    また、コンピュータ上で水素製造施設の動きを再現するプラントシミュレーション技術も確立し、安全な制御方法を完成させます。