「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に示された大量かつ安価なカーボンフリー水素製造に必要な技術開発に向け、2030年までに900℃を超える高温熱を供給可能なHTTRを用いて高温ガス炉と水素製造施設の高い安全性を有する接続技術を確立するHTTR-熱利用試験を計画しています。
HTTR-熱利用試験施設は、既設のHTTR及び技術が確立されている天然ガス水蒸気改質法による水素製造施設により構成します。原子炉から取り出された高温の1次ヘリウムガスは、中間熱交換器を介し2次ヘリウムガスに熱を伝えます。2次ヘリウムガスは新たに設置する高温ヘリウム配管を通り、原子炉格納容器及び原子炉建家を貫通し、高温隔離弁を経由して水蒸気改質器に反応熱を供給し、水素を製造します。
HTTR-熱利用試験では、原子力規制委員会からの許認可取得を通じて、水素製造施設の可燃性ガス火災爆発等、水素製造施設接続に伴い新たに考慮すべき事項に係る高温ガス炉の安全設計及び安全評価技術を確立させます。また、HTTR-熱利用試験施設の設計、建設及び運転を通じて、高温ガス炉と水素製造施設の接続に必要な機器として水素製造施設異常時に必要な系統隔離を行う高温隔離弁等を開発するとともに、システム設計技術として実用システムの制御設計に必要なプラントシミュレーション技術を確立します。
- 参考文献
- 佐藤, ほか, HTTR-熱利用試験計画 (1) 計画の概要, 日本原子力学会 2022年春の年会1C01 (2022).