高温ガス炉の実用化に向けて

国外の動きと連携

世界各国で進む高温ガス炉開発

世界をリードする日本の高温ガス炉技術の海外での展開、海外における許認可の経験や社会実装の過程で得られる社会科学的知見などの我が国への還元、将来の国内高温ガス炉実証炉用燃料の調達先オプションの確保などを目的として、イギリスとポーランドの高温ガス炉プロジェクトに参画しています。

  • 各国の動き

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  • イギリス×日本の連携

    2024年4月に行われた、JAEAと英国国立原子力研究所(NNL)の調印式の写真です。JAEAの小口理事長とNNLのハワースCEO(当時)が握手をしています。英国高温ガス炉燃料開発プログラムの燃料製造技術開発に係る実施覚書及びライセンス契約を締結しました。

    英国政府は、産業界の脱炭素に向け、高温ガス炉の熱及び水素を活用するため、高温ガス炉開発を決定し、2022年から高温ガス炉の実証炉および高温ガス炉燃料に関するプログラムに取り組みました。

    高温ガス炉実証プログラム

    JAEAはイギリス国立原子力研究所
    (UKNNL)とチームを組み、高温ガス炉実証炉の基本設計などを行いました。

    イギリスでの高温ガス炉実証炉プログラムの工程図。2022年9月から2023年2月までの「フェーズA(事前概念検討)」、2023年7月から2026年2月までの「フェーズB(基本設計、採算性評価)」が示されます。

    高温ガス炉燃料開発プログラム

    JAEAは高温ガス炉の燃料に関わる検討や技術開発も、UKNNLと共に取り組みました。JAEAや日本の民間企業が保有する燃料の設計や製造の技術をもとに、被覆燃料粒子の製造技術をイギリスに移転し、将来的に日本国内における高温ガス炉実証炉の燃料調達オプションとすることを目指します。

    イギリスでの高温ガス炉燃料開発プログラムの工程図。2022年9月からの2023年2月までの「フェーズA(事前概念検討)」、2023年7月から2026年3月までの「ステップ1(燃料製造技術開発)」が示されます。

    今後の目標

    JAEAは、UKNNLと連携して日本の高温ガス炉技術の国外実証を進め、英国で社会実装し、脱炭素技術の日本への還元を目指します。

  • ポーランド×日本の連携

    JAEAの小口理事長とのポーランド国立原子力研究センター(NCBJ)のクレック所長(当時)が署名を行っている写真です。2022年11月、JAEAとNCBJは両機関間におけるポーランド高温ガス炉研究炉の基本設計に関する、既存の研究開発協力取決めの改定取決めに署名を行いました。

    世界中でカーボンニュートラルへの動きが加速する中、ポーランドは産業界から抽出されるCO₂削減を目指して、石炭燃料の代替として高温ガス炉の活用を計画。JAEAは、ポーランド国立原子力研究センター(NCBJ)と連携し「高温ガス炉技術分野における研究開発協力のための実施取決め」に署名しました。

    これにより、NCBJから高温ガス炉研究炉の基本設計に関する研究受託が求められ、2022年から国内の民間企業と共に設計研究に取り組みました。

    今後の目標

    ポーランドの高温ガス炉開発における主要なパートナーとして、日本の高温ガス炉技術の更なる高度化、国際標準化を図ります。

イギリス

産業界の脱炭素に向け、高温ガス炉に着目

英国政府は、CO2を排出しない原子力の導入を重点化。産業界の脱炭素に向け、高温ガス炉の高温熱及び水素を活用するため、2022年から英国高温ガス炉プロジェクトを開始。2026年からは、民間主導の革新炉プロジェクトを支援する革新炉フレームワーク(ANF)に移行し、高温ガス炉を含む革新炉の導入を目指しています。

OECDによりイギリスに設置された、世界初の高温ガス炉実験炉「Dragon炉(ドラゴン炉)」の外観写真
OECDによりイギリスに設置された世界初の高温ガス炉「実験炉」 Dragon炉
※Nuclear Energy Agency(NEA)webサイト上の文章

ポーランド

石炭火力に変わる熱源として高温ガス炉の利用に期待

脱CO₂に向け、石炭火力の代替として高温ガス炉を化学産業用の熱源に利用することを想定。まず、ポーランド国立原子力研究センター(NCBJ)への高温ガス炉研究炉(熱出力30 MWt)の導入を計画しています。

カザフスタン

高温ガス炉の経済性向上に向けた高燃焼度燃料の開発

カザフスタン核物理研究所ではISTC(国際科学技術センター)事業の一環として、照射炉を活用した燃料照射試験ならびに照射後試験を通じた高温ガス炉の高燃焼度燃料の開発をJAEAとの連携の下に進めています。

中国

高温ガス炉を先進原子力発電設備に選定、実用化に向け開発・実証

べブルベッド型高温ガス炉の実証炉HTR-PMを開発、建設し、運転中です。
HTR-PMは、2021年に臨界を達成し、2023年12月に商業運転を開始しました。2024年には蒸気抽気による地域熱供給の実運用も開始しています。中国での高温ガス炉は、中国国内の「CO₂排出量を実質ゼロ化」の目標を達成するための重要な手段と位置付けられています。中国では、2026年に新たな商用高温ガス炉HTR-PM600Sの建設も予定しています。

中国にあるペブルベッド型高温ガス炉実証炉「HTR-PM」の施設外観の空撮写真
ペブルベッド型高温ガス炉実証炉HTR-PM
※人民日本語版WEBサイト

韓国

原子力水素製造システムの実証に向けた研究開発

2004年、韓国原子力研究院(KAERI)の原子力水素プログラム提案に基づき、民間企業と協力した高温ガス炉の開発がスタートしました。2024年から官民折半で、2028年以降は民間主導で実証炉プロジェクトを、2034年以降は完全民間による商業化プロジェクトを計画しています。

インドネシア

CO₂排出量削減を目指して高温ガス炉を開発中

2060年までにカーボンニュートラルを実現するために原子力の導入を目指しており、初号機導入目標を2032→2029–2032へ前倒し検討するなど、その取り組みを加速させています。中国清華大学と協力しながら産業利用が可能な高温ガス炉の開発を進めています。

カナダ

カナダ原子力研究所(CNL)が実証炉研究を推進中

CNLは、2030年までに研究所内にSMR(小型モジュール炉)の実証炉を設置すべく、炉の選定を行っています。その先頭を走るのが、米国NANO Nuclear(USNC社の関連会社からGlobal First Power Limitedを買収)の小型高温ガス炉MMRです。

アメリカ

民間企業を中心に高温ガス炉を開発中

米国では政府の支援を受けた民間企業による高温ガス炉開発が前進しています。X‑energy社は2025年3月にDow社のテキサス州シードリフト操業拠点向けにXe‑100(80 MWe×4基想定)の建設許可申請をNRCへ提出しました。このプロジェクトは米国エネルギー省の支援対象であり、2030年代初めの運転開始を目指しています。

日本

実証炉の設計・建設へ

HTTRでの運転試験を経て、国内の高温ガス炉開発は、実証炉の設計・建設を行う段階を迎えています。経済産業省が進める「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」に基づき、2030年代後半の実証炉建設に向けて、現在は基本設計や研究開発を積極的に進めています。