連続水素製造試験

個別の主要反応器の健全性確証試験を発展させるプログラムとして、ISプロセスを構成する化学反応を統合した、水素製造規模100リットル毎時の工業材料 (金属、セラミックス) 製の連続水素製造装置の製作を完了しました。本装置を用い、強腐食環境下での信頼性確証、連続水素製造の検証を進めています。

本装置の機器は実用工業材料を用いて製作しました。運転操作温度、プロセス流体の種類と相状態を勘案し、これら多様なプロセス環境に耐え得る多様な耐食材料 (ガラスライニング材、フッ素樹脂ライニング材、不浸透黒鉛、セラミックスおよびニッケル基合金など) を選定しました。

2016年2月に、3反応工程(硫酸分解工程、ブンゼン反応工程、ヨウ化水素分解工程)を統合した連続水素製造試験装置の運転(10L/h、8h)に成功しました。10月にはその2倍の水素製造速度で連続水素製造31時間を達成し、これらの運転を通して、ヨウ化水素溶液移送技術(ポンプ) 及び、ヨウ化水素分解工程におけるヨウ素析出防止技術を確証しました。

運転後は、さらに、ヨウ化水素溶液の漏えい防止、閉塞などの運転時の性能低下防止に対して、腐食対策(品質管理を向上させたガラスライニング鞘管)、固体析出対策(数値解析によるヨウ素が析出しない運転条件の明確化や加熱方法の見直し)などの改良を進めました。

この結果、2019年1月に水素発生量約30L/hで連続150時間の運転を達成し、世界で初めて実用工業材料によって構成したISプロセス装置による安定かつ長期間の水素製造に成功しました。

今後は、さらなる長時間の安定運転に必要な、運転自動化技術(溶液組成の自動制御)の開発や機器の信頼性確証などを、連続水素製造試験装置を用いて着実に進め、ISプロセスによる水素製造の実用化を目指します。

連続水素製造試験装置の概要

連続水素製造試験装置の概要

連続水素製造試験装置の工程及び主要な機器

連続水素製造試験装置の工程及び主要な機器