Naの化学的活性度抑制技術の開発
高速炉の冷却材として用いるナトリウムは、高い熱伝導率、配管等の構造材料に対する腐食性が低い等、冷却材として望まれる多くの優れた特徴を持っていますが、化学的に活性(空気中の酸素や水と反応する)であるという弱点を有しています。
冷却材としての多くの優れた特徴を活かしつつ弱点の改善を図るため、ナノ粒子をナトリウム中に分散させた「ナノ流体」により化学的活性度低減を狙う研究開発を行っています。
ナノ流体による化学的活性度抑制の概念は、アルカリ金属のナトリウムと電気陰性度の高い金属ナノ粒子(候補材は遷移金属)を組合せることによって、ナノ粒子表層でナトリウム原子との原子間相互作用(原子間結合力や電荷状態の変化)によるものです。
ナノ粒子を微細化することによりナノ粒子とナトリウムが接する表面積を拡大でき、結果としてナトリウム中への分散量が低減できるため、冷却材として用いるナトリウムの優れた特徴に大きな変化はありません。
これまでの基礎研究において、ナノ流体の化学的活性度抑制に関し諸特性のデータ整備やメカニズム解明、ナノ流体を高速炉に適用した場合の効果の予測評価がなされており、現在は、実用化に向けてナノ流体技術の成立に必要な基盤技術開発(製造技術高度化など)とともに、基礎研究から規模を徐々に拡大するための研究も進めています。