安全基準整備

安全設計

高温ガス炉システムの安全設計や安全評価に関する研究を行っています。

高温ガス炉は、耐熱性の高い被覆粒子燃料、高熱伝導かつ大熱容量の黒鉛製炉内構造物、使用条件下では相変化せず化学的に不活性なヘリウム冷却材の特性により、優れた安全性を有しています。この特長を活用し、動的安全設備を用いずに、大規模構造物破損や運転員誤操作に影響を受けることなく、多量の放射性物質の放出に至らない原子炉設計の安全要件を検討しました。また、高温ガス炉による水素製造等の産業利用に向けて、水素製造施設の接続に当たり原子炉の安全を確保するための要件や指針から成る安全基準やこれに適合する設計対策を検討しました。

これまでの検討結果に基づき、平成25年度~26年度には日本原子力学会「高温ガス炉の安全設計方針」研究専門委員会において原子炉設計の安全要件原案の評価を受け、高温ガス炉システムの安全要件案を完成させました。平成27年度~28年度には同学会「プリズマティック型高温ガス炉の安全設計プロセス」研究専門委員会において安全要件(機能要求)と安全指針(性能水準要求)をつなぐ考え方について検討しました。また、完成させた安全要件は、IAEAエネルギー局案として採用され、令和2年12月にIAEA技術報告書として刊行されました。

原子力機構では、高温工学試験研究炉(HTTR)を用いて高温ガス炉と水素製造施設の高い安全性を有する接続技術を確立するHTTR-熱利用試験を計画しています。

実用高温ガス炉の安全基準の策定に向けた活動の概要

実用高温ガス炉の安全基準の策定に向けた活動