国際連携

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二国間及び多国間の連携

高温ガス炉の開発は、日本以外にも、ポーランド、英国、米国、中国、韓国、インドネシア、カザフスタン等で行われています。実際に高温ガス炉を建設しているのは中国、建設計画を有するのは米国、ポーランド、英国(企業)、インドネシア及びカザフスタンです。韓国では、建設計画を検討中です。

国際共同研究では、HTTRにおいて長年蓄積してきた「研究、設計、建設、運転及び保守の経験」を基に、二国間及び多国間の連携を進めています。

現在の高温ガス炉国際連携(多国間及び二国間の連携)の概要

(1)ポーランドとの連携

日本政府とポーランド政府は、「2021年から2025年までの日本国政府とポーランド共和国政府との間の戦略的パートナーシップの実施のための行動計画」に署名し、その中の経済協力において、日本国経済産業省及び文部科学省並びにポーランド共和国気候・環境省、開発・労働・技術省及び教育・科学省の支援の下、日本原子力開発機構(JAEA)とポーランド国家原子力研究センター(NCBJ)との間における高温ガス冷却炉分野の研究開発に向けた協力を奨励することが明記されました。現在、研究協力実施取決めを締結し、具体的な協力を開始しようとしています。

(2)英国との連携

(i)英国国立原子力研究所(NNL)との研究協力

日本政府と英国政府間の高温ガス炉開発の取組を支援するため、原子力機構と英国国立原子力研究所(NNL)との間で締結している包括的な技術協力取決めを改定、新たに「高温ガス炉技術分野」を追加し、同分野の協力を開始しました。現在、具体的な共同研究プロジェクトを実施するため、実施取決めの締結に向けて協議を進めています。

(ii)英国原子力規制局(ONR)との情報交換

原子力機構は、英国原子力規制局(ONR)と高温ガス炉の安全性に関する情報交換取決めを締結しました。現在、相互に交換する具体的な情報を特定し、情報交換を進めています。

(iii)英国U-Battery計画への協力

URENCO社傘下のU-Battery社が開発を進めているモジュール型小型高温ガス炉U-Batteryの早期商用化に向けた協力を行う予定です。

(3)米国との連携

「原子力関連研究開発分野における協力に関する日本国文部科学省とアメリカ合衆国エネルギー省の間の実施取決め」に基づき、新型炉研究開発に関する協力として、高温ガス炉に関する研究協力プロジェクト取決めを締結し、シミュレーションコード開発などで協力を進めています。

(4)中国、韓国及びインドネシアとの連携

中国清華大学核能及新能源技術研究院、韓国原子力研究所及びインドネシア原子力庁と、主に情報交換による高温ガス炉技術に関する協力を行っています。

(5)カザフスタンとの連携

(i)カザフスタン高温ガス炉(KHTR)の研究、設計及び建設への技術協力

KHTR計画は、カザフスタンのクルチャトフ市に、発電及び地域暖房を目的とし、原子炉出力50MW規模の小型高温ガス炉を建設する計画です。今後、先方のニーズに基づき、カザフスタンにおける高温ガス炉の実現に向けて協力していきます。

(ii)ISTC KZ-2514レギュラープロジェクト

JAEAは、高温ガス炉の核拡散防止性能や炉心酸化事故時の安全性の向上のため、耐酸化性を高めたSiC母材燃料コンパクトを開発中です。その照射特性データの取得を目的とした照射試験を、カザフスタン国立核物理研究所(INP)と協力し、国際科学技術センター(ISTC)のプロジェクトの枠組みの下で実施しています。

(6)経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)を通じた連携

HTTRを用いた強制冷却喪失(LOFC)の試験に基づく革新炉の安全研究等を、平成22年度より、協力して行っています。本協力研究には、日本、米国、仏国、独国、韓国、ハンガリー及びチェコから8機関が参画しています。

(7)国際原子力機関(IAEA)を通じた連携

「ガス炉冷却技術ワーキンググループ(TWG-GCR)」や「小型モジュール炉技術ワーキンググループ(TWG-SMR)」等に参加し、協力を行っています。

(8)第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)を通じた連携

米国エネルギー省(DOE)が提唱して構築された第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)では、超高温ガス炉(VHTR)を含めて6つの炉型について研究開発が提案されています。

VHTRの国際共同研究には日本、豪国、加国、ユーラトム、仏国、中国、韓国、スイス、英国及び米国が参加しています。

VHTRシステム運営委員会では、水素製造、燃料・燃料サイクル、材料、計算手法検証・ベンチマークの各研究分野を担当するプロジェクト管理委員会からの報告内容の審議、懸案事項の検討、参加各国の状況報告等を行い、VHTRシステムに係る国際共同研究プロジェクトの運営を行っています。

水素製造プロジェクトでは、VHTRを用いた大規模水素製造を目標として、IS(ヨウ素-硫黄)プロセス、高温水蒸気電解、Cu-Cl(銅-塩素)プロセス他の熱化学プロセス、炉と水素製造プラントの接続技術の研究開発を進めています。

燃料・燃料サイクルプロジェクトでは、VHTRに用いる燃料技術の確立を目的として、ユーラトム及び米国の照射試験炉を利用した共同照射・照射後試験、燃料挙動モデルによるベンチマーク解析、被覆層特性評価のためのラウンドロビン試験、燃料の安全性に関する試験研究を主に進めています。

材料プロジェクトでは、VHTRに使用される金属材料、黒鉛材料及びセラミックス材料について、照射データの取得及び未照射・照射特性データベースの作成が進められています。

新設される計算手法検証・ベンチマークプロジェクトでは、国際協力により高温ガス炉のための計算手法検証を目指しています。

(9)欧州連合(EU)を通じた連携

欧州に展開する高温ガス炉コジェネレーションシステムの安全基準や安全性を高めたシステム概念及び実証に向けた枠組みの構築を目指しているGEMINI+プロジェクトに参画しました(2021年2月プロジェクト終了)。現在、次期計画検討中です。