深地層研究計画の状況

令和元年9月の調査研究の状況

令和元年9月27日(金)更新

試験坑道2における地下環境での搬送定置・回収技術の実証試験
(原子力環境整備促進・資金管理センターとの共同研究)

原子力環境整備促進・資金管理センターとの共同研究「搬送定置・回収技術の実証的検討に関する研究」では、深度350m調査坑道の試験坑道2において、人工バリアの搬送定置・回収技術の実証試験を実施しています。
 これまでに処分坑道横置き定置方式*1のひとつであるPEM*2方式を対象に、試験坑道2に模擬PEMを設置し(平成30年3月2日掲載記事参照)、模擬PEMと坑道間の隙間を充填する試験を行い(平成30年12月7日掲載記事平成31年2月1日掲載記事参照)、その充填材を除去する試験(令和元年7月26日掲載記事令和元年8月9日掲載記事参照)を行ってきました。
 今回、エアベアリング方式*3の定置装置(写真1、2)により、地下環境のコンクリート面上で重量物である模擬PEM(約36.5トン)を搬送及び定置する試験を行い、浮上量、流量、圧力、押引力等の搬送定置に関わる各種データーを取得しました。

*1 処分坑道横置き定置方式とは
 坑道に人工バリアを横向きに定置する方式です。(なお、試験坑道4で実施している人工バリア性能確認試験は竪置き定置方式を採用しています。)

*2 PEMとは
 鋼製の容器の中に、人工バリアであるオーバーパックや緩衝材を設置し、一体化したものです。(Prefabricated Engineered barrier system Moduleの略)
 本試験では、オーバーパックと緩衝材を封入しない模擬PEMを使用しています。

*3 エアベアリング方式とは
 圧縮空気を送り込み、床面との隙間にごく薄い空気の膜を形成することで摩擦を低減し、小さい力で重量物を搬送するための仕組みです。(平成29年10月27日掲載記事参照)


写真1 定置装置(赤丸部分の裏側にエアベアリングがあります)

写真2 エアベアリング

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令和元年9月27日(金)更新

原子力学会北海道支部サマーセミナーの開催

9月19日(木)に、幌延深地層研究センター国際交流施設において、「原子力学会北海道支部サマーセミナー」が開催され、原子力・廃棄物処分に関する講演等が行われました。
 本セミナーには北海道大学を中心に、原子力機構および電力会社等から24名の参加があり、それぞれの機関より計6件の講演が行われ、幌延深地層研究センターからは、「高レベル放射性廃棄物地層処分」、「坑道周辺の酸化還元状態の評価」と題した講演を行いました(写真1)。
 また、講演会後には、ゆめ地創館地層処分実規模試験施設地下研究施設の深度350m調査坑道の見学を行いました。

写真1 講演の様子

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令和元年9月27日(金)更新

「第35回バックエンド夏期セミナー」におけるポスター賞の受賞

令和元年8月28日、29日に青森県青森市で開催された「日本原子力学会バックエンド部会 第35回バックエンド夏期セミナー」において、幌延深地層研究センター 大野 宏和 研究員による発表がポスター賞として表彰されました(写真1)。
  同セミナーは、原子力におけるバックエンド分野の研究に関するセミナーで、年1回開催されています。
  受賞講演題目は「幌延URL*1における稚内層深部領域の断層*2を対象とした原位置物質移行試験」で、幌延深地層研究センターの地下施設で実施した「割れ目帯における物質移行試験」(平成30年8月31日掲載記事参照)の試験結果から、稚内層深部領域の断層の物質移行特性について評価したものです。

*1 幌延URLとは…
 幌延深地層研究センター(Horonobe Underground Research Laboratory)の略称。

*2 稚内層深部領域の断層とは…
 本試験では、東立坑の坑底(深度380m)から掘削したボーリング孔(鉛直孔)の深度約480m付近で確認された断層を対象に試験を実施しました。

写真1:ポスター賞の受賞

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令和元年9月20日(金)更新

第29回 OECD/NEA Clay Club定例会議に出席

令和元年9月3日(火)~4日(水)、カナダのトロントにあるNWMO*1本部において開催されたOECD/NEA*2 Clay Club*3の第29回定例会議(写真1)に出席しました。本会議には、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、日本、オランダ、スイス、ルーマニア、米国から21名の研究者らが出席しました。
 会議では、各国での地層処分に関する調査研究の現状について情報交換を行うとともに、昨年度開催された第28回定例会議に引き続き、「掘削影響評価」に関わるセッションが設けられ議論が行われました。
また、「各国の調査研究の現状」に関するセッションでは、日本における調査研究の現状として、幌延深地層研究センターにおける搬送定置・回収技術に関わる試験の概況を紹介しました。


*1 NWMO(カナダ核燃料廃棄物管理機関)とは…
 カナダにおける核燃料廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体。

*2 OECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)とは…
 原子力発電を安全で環境に調和した経済的なエネルギー源として開発利用することを加盟諸国政府間の協力により促進する経済協力開発機構(OECD)傘下の国際機関。

*3 Clay Club(クレイ・クラブ)とは…
 OECD/NEAの放射性廃棄物管理委員会(RWMC)の下に置かれた常設ワーキンググループの1つであるセーフティーケース統合グループ(IGSC)のプロジェクト。


写真1 会議の様子

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これまでにご紹介した調査研究の状況

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