平成29年10月27日(金)更新
原子力環境整備促進・資金管理センターとの共同研究「
搬送定置・回収技術の実証的検討に関する研究
」では、深度350m調査坑道の
試験坑道2
において、エアベアリング方式*1の定置装置による、人工バリアの搬送定置・回収技術の実証試験を予定しています。 試験坑道2では、これまでに、床面へのコンクリート打設、応力計の設置等の試験に向けた整備を実施してきました(
平成28年12月9日掲載記事
、
平成28年12月22日掲載記事
、
平成29年1月27日掲載記事
参照)。
この度、昨年度(平成28年度)に構築したコンクリート製の走行面で、実証試験で使用する定置装置を小型化した要素試験装置を用いた走行試験を行った結果、エアベアリング方式の定置装置が地下に打設したコンクリート面上を走行できることを確認しました(写真1、動画)。また、設置してある応力計などにより、コンクリート面上での重量物を運ぶ際の特性のデータを取得しました。今後は、取得したデータを評価し、実証試験に向けた定置装置の整備を進めていく予定です。
*1 エアベアリング方式とは…
圧縮空気を送り込み、床面との隙間にごく薄い空気の膜を形成することで摩擦を低減し、小さい力で重量物を搬送するための仕組みです(図1)。
写真1 走行試験の実施状況
図1 エアベアリング方式の基本概念図
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平成29年10月20日(金)更新
平成29年9月24日(日)から27日(水)にかけて、スイスのダボスにおいて、粘土系堆積岩を対象とした地層処分研究に関わる国際会議が開催されました(写真)。本会議は、2002年以降、2~3年毎に欧州各地で開催され、今回で7回目になります。今回の会議には、21ヶ国から428人が参加し、日本からは、原子力発電環境整備機構、原子力環境整備促進・資金管理センター、電力中央研究所、大学、ゼネコン、日本原子力研究開発機構の関係者らが出席しました。会議では、粘土系堆積岩を対象とした地質環境調査・評価・モデル化技術や処分場の設計・安全評価に関わる技術等に関して、多数の口頭発表やポスター発表が行われました。幌延深地層研究センターからは、幌延の深部地下水中に存在するコロイド(1nm~1μmの大きさの粒子)濃度の測定方法や地下水中での安定性の評価方法についてポスター発表を行い、海外の専門家と議論しました。
写真1 会議の様子
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平成29年10月20日(金)更新
平成29年9月28日(木)、スイスのダボスにおいて開催されたOECD/NEA*1 Clay Club*2の第27回定例会議に出席しました。本会議には、ベルギー・カナダ・フランス・ドイツ・ハンガリー・日本・オランダ・スイス・イギリス・米国から21名の研究者らが出席しました。会議では、各国での調査研究の現状に関する情報交換が行われるとともに、昨年から開始されたプロジェクトの実施状況と今後の計画について議論されました。幌延深地層研究センターからは、深度350m調査坑道における調査研究として、人工バリア性能確認試験の進捗状況等を紹介しました。また、ここ数年取り組んできた各国の堆積岩のデータセットの更新版(Clay Club Catalogueの更新版)の最終ドラフトが提示され、今後、相互比較や検討ができると期待されます。
*1 OECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)とは…
原子力発電を安全で環境に調和した経済的なエネルギー源として開発利用することを加盟諸国政府間の協力により促進する経済協力開発機構(OECD)傘下の国際機関。
*1 Clay Club(クレイ・クラブ)とは…
OECD/NEAの放射性廃棄物管理委員会(RWMC)の下に置かれた常設ワーキンググループの1つであるセーフティーケース統合グループ(IGSC)のプロジェクト。
写真1 会議の様子
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平成29年10月13日(金)更新
地下環境中で物質がどのように移行するのかを把握するために、岩盤中に割れ目がない領域(健岩部)を対象として、複数のトレーサー*1を利用した物質移行試験を
深度350m調査坑道
において実施してきました(
平成29年1月20日掲載記事
参照)。
この度、トレーサーが岩盤中をどのように移行しているかを確認するために、9月29日より岩石試料の採取を開始しました(写真1、写真2)。
今後は採取した岩石試料内のトレーサー濃度を測定し、岩石中でのトレーサーの移行挙動について評価する予定です。
*1 トレーサーとは…
地下水の流れの方向や流れる時間などを調べるために、地下水に目印としてまぜる染料やその他の薬品を指します。なお、幌延深地層研究センターでは環境に影響のない一般的な試薬を用いており、放射性物質を目印としてまぜていません。
写真1 岩石試料の採取状況
写真2 採取した岩石試料
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平成29年10月05日(金)更新
深度350m調査坑道の
試験坑道5
におけるオーバーパック溶接部腐食試験(
平成27年1月16日掲載記事
、
平成27年10月1日掲載記事
参照)は、原位置での試験を終了し、試験孔から試験体(模擬オーバーパックおよび緩衝材から構成)を取り出しました(
平成29年9月29日掲載記事
参照)。
その後、当該試験体を地上に搬出し、各種センサーを回収するとともに、緩衝材から模擬オーバーパックを取り出しました(写真1,2)。また、緩衝材を取り除いた直後の模擬オーバーパックの表面の様子をラインスキャナで画像データとして取得しました(写真3)。 今後は模擬オーバーパック表面の腐食状態を詳細に調査し、これまでの計測結果との比較を通じて検証等を行います。
写真1 緩衝材からセンサーを回収している様子
写真2 カットした緩衝材を取り除いている様子
写真3 ラインスキャナを用いて模擬オーバーパック表面の画像を取得している様子
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