幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの段階に分けて進めることとしています。現在は、研究所用地やその周辺において、地下施設の建設、第2段階および第3段階の調査研究を行っています。
このページでは、調査研究の状況をご紹介します。
令和7年10月24日(金)更新
令和7年9月9日から10月15日にかけて、500m調査坑道の西連絡坑道、東連絡坑道、一時避難所及び試験坑道8(図-1の赤点線)において底盤部の清掃を行い、一部の範囲の岩盤を露出させて地質観察を行いました(図-2、図-3)。この観察は、令和7年6月に500m調査坑道の試験坑道9で実施した観察の続きに相当します。今回の観察でも、前回と同様に岩盤の割れ目の長さや割れ目同士のつながり具合、岩盤の強度などの地質学的特徴に関する情報を取得しました。これらの情報は、坑道周辺の岩盤内の割れ目の空間分布などを推定するために非常に重要な情報となります。また、得られた情報を整理することで、500m調査坑道全域に発達する断層の分布やその特徴の把握、坑道を掘削した際に坑道周辺に生じる割れ目の発達領域の推定など、さまざまな試験・調査に利用できます。
図-1 地質観察の実施場所(500m調査坑道)
図-2 露出させた岩盤(500m試験坑道8の全景)
図-3 地質観察の様子
令和7年10月2日(木)更新
令和7年9月16日(火)に、ANEC※1が実施している国際原子力人材育成イニシアティブ事業※2の一環として、国内外の8つの大学から14名の学生および4名の教員が、幌延深地層研究センターでの実習に参加しました(写真1)。
参加者は、幌延深地層研究センターで行っている高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発の概要や、地下施設での地下水の水質調査について、解説を受けるとともに、実習を行いました(写真2、3)。
参加者からは多くの質問があり、講師を務めたセンター職員からの回答に耳を傾け、理解を深めている様子でした。
幌延深地層研究センターは、今後も国際的な原子力人材育成に協力していきます。
※1 ANEC(Advanced Nuclear Education Consortium for the Future Society:未来社会に向けた先進的原子力教育コンソーシアム):国際原子力人材育成イニシアティブ事業を実施する中核組織で、北海道大学などの大学の他、高等専門学校、研究機関、民間企業、電力会社など多くの機関で構成されています。
※2 国際原子力人材育成イニシアティブ事業:文部科学省による原子力分野の幅広い人材育成を目的とした補助事業です
写真1 参加者集合写真
写真2 実習の様子(高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発の概要)
写真3 地下での実習の様子(地下水の水質調査:深度250m調査坑道)
令和7年10月2日(木)更新
原子力機構では、大学および高等専門学校の夏期休暇期間中に、学生に原子力について広く学ぶ機会を提供し、原子力分野の人材育成に資するため、夏期休暇実習生の受け入れを行っています。
幌延深地層研究センターでは、「原位置トレーサー試験に基づく物質移行解析に関する実習」および「坑道掘削時の周辺岩盤の損傷状態に関する解析的検討」の二つのテーマを設定し、9月4日~9月12日に東海大学から4名、9月16日~9月19日に京都大学から1名の学生を受け入れました。
参加した学生は、地下岩盤中での物質の移行挙動や、坑道の掘削によって生じる周辺岩盤の損傷状態などに関する解析や測定の実習に取り組みました。また、センター職員による研究内容の紹介や地下施設の試験現場の見学なども行いました。これらを通じて、学生が地層処分技術の研究開発に関する理解を深めるとともに、実際の仕事の進め方を体験する機会を提供しました。
幌延深地層研究センターは、今後も原子力分野の人材育成に努めていきます。