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臨界実験装置

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◎ 施設目的

 核燃料再処理施設で用いられるウランを含む溶液燃料で起きる臨界事故時の現象(急激に出力が上がり、放射性物質が放出される過渡現象)の把握を目的としています。

◎ 活動

 溶液燃料を用いる核燃料再処理施設では、そのすべての工程において臨界にならないように設計されていますが、万が一臨界事故が起きたときに備えて、事故時の過渡現象や放射性物質の放出挙動を調べる研究をしています。

溶液燃料を用いる再処理施設では、そのすべての工程において臨界にならないように設計されていますが、その設計の安全性を評価する上で、臨界事故が起こるとどのような現象(過渡臨界事象)になるのかを事前に調べておく必要があります。これまで“高濃縮”ウラン硝酸水溶液による過渡臨界事象に関する実験データはフランスにおいて取得されていたものの、商用再処理施設などで取り扱われる低濃縮ウラン硝酸水溶液の過渡臨界事象に関する実験データはなく、高濃縮ウラン硝酸水溶液の実験・解析データを用いて設計などが行われていました。
TRACYでは、1995年12月から、世界で初めてとなる低濃縮ウラン硝酸水溶液を用いた過渡臨界事象に関するデータ(出力、温度及び圧力の時間変化並びに溶液燃料及び溶液燃料から放出されるエアロゾル状の放射性物質の挙動)を取得してきました。TRACYで得られた臨界データにより、低濃縮ウラン硝酸水溶液体系での臨界事故挙動が明らかとなり、再処理施設などの事故時評価の精度を向上させました。

貢献

○JCO臨界事故の終息に貢献

 1999年9月30日に茨城県東海村で起きたウラン加工工場(株式会社ジェー・シー・オー)の臨界事故の際、事故現場周辺で観測された放射線量率を基に臨界事故継続中の出力や投入された反応度(核燃料による出力上昇の要因)を推定するなど、事故状況の把握やその後の事故調査に貢献しました。

○安全設計や安全審査に貢献

 TRACYでこれまで取得したデータは、溶液燃料を扱う原子力施設などの安全評価や国の安全審査に活用されています。

○人材育成に貢献

 臨界事故を模擬した実験で、溶液燃料の変化を観察した映像は、臨界事故に関する教育用教材として広く活用されています。

○被ばく線量計の技術開発に貢献

 臨界事故時の被ばく線量計の技術開発にも貢献しています。

TRACY
イメージ図

TRACY
外観

過度臨界時の炉内映像

TRACYについて(諸元表)

名称 過渡臨界実験装置 TRACY(Transient Experiment Critical Facility
初臨界日 1995年12月20日
運転回数 445(2011年 3月時点)
寸法 外径約0.5 m×高さ約2 m(T50炉心タンク)
燃料 約10%濃度ウラン硝酸水溶液
最大熱出力

10 kW(定出力運転時)
(原子力発電所の出力の約10万分の1以下)
5000 MW(過渡出力運転時)

(瞬間的(0.2秒程度以内)に100万キロワット級の原子力発電所並みの出力)
最大過剰反応度

0.8ドル(定出力運転時)
3ドル(過渡出力運転時 )

※ドル:臨界からのずれを表す尺度。
1ドルを超えると、人手による運転操作では制御できない、急激な核分裂連鎖反応(出力暴走)が生じます。(TRACYなど過剰反応度が1ドルを超える試験研究炉もありますが、その場合は、運転操作に依らずに出力を自己抑制する特性を有していることが条件となります。)
特徴 世界では、溶液燃料の臨界実験装置は稀であり、なかでも商用再処理施設等で用いられる低濃縮ウラン硝酸水溶液を燃料としている装置はSTACYとTRACYのみです。
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