原子炉施設の事故などで核燃料が融けて生じた燃料デブリは、核燃料以外の鉄などの金属製の構造材や原子炉施設内のコンクリートが複雑に混ざりあっている可能性があります。この場合、その成分(材料比率)や状態は、不明確なままです。この性質および状態(性状)が不明確なデブリを、臨界事故が起きないよう安全に取出し・処分するためには、燃料デブリの性状に起因する臨界管理上の不確かさを把握しておく必要があります。そこで、STACY更新炉では、核燃料と構造材の成分比率を様々に変えた燃料デブリ模擬体を製作し、それを実験に使用できる臨界実験装置として、現在、設計を進めています。 燃料デブリを安全に取り扱うためには、燃料デブリの性状の不確かさが臨界管理に与える影響やその大きさを実験及び解析によって評価し、燃料デブリを取扱う上での安全基準を新たに導入していく必要があります。また、それら燃料デブリに関する臨界データを基にどのような臨界管理が効率的・効果的かを調査・検討する必要もあります。STACY更新炉では、そのような実験的研究開発を進めるための安全基盤研究施設として整備する計画です。