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臨界実験装置

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◎ 施設目的

 核燃料の再処理施設などで用いられるウランを含む溶液燃料の臨界安全に係るデータベースの構築を目的としています。

◎ 活動

 溶液燃料を取り扱う原子力施設は、臨界安全性を考慮した設計である必要があります。この施設では、臨界安全を確保するための研究を1995年から実施しています。

なお、2010年度をもって当初の試験計画を終え、2011年2月にSTACYを更新するための原子炉設置変更許可申請を行いました。

核燃料の再処理施設では、燃料棒及び燃料集合体を細かく切断した後、硝酸に溶かし、溶液燃料(ウラン硝酸水溶液)となった核燃料物質を分離・抽出し ます。その際、核燃料物質がいかなる濃度や成分比率、量になっても臨界とならないよう、臨界管理を行っていく必要があります。このため、再処理施設の設備機器は、十分な安全裕度を持たせて設計されています。その設計に当たっては、これまで外国で得られた“高濃縮”ウラン硝酸水溶液による臨界実験(検証)データが用いられてきました。しかし、商用再処理施設では“低濃縮”ウラン硝酸水溶液が用いられるため、その設計検証と安全裕度の評価が重要でありました。
STACYでは、1995年(平成7年)2月から、世界で初めてとなる低濃縮ウラン硝酸水溶液に関する臨界データを取得してきました。STACYで得られた臨界実験データにより、低濃縮度ウラン硝酸水溶液の精度検証が進められ、再処理施設等の設計に関する安全裕度の確認に大いに貢献しました。

貢献

JCO臨界事故の終息に貢献

 1999年9月30日に茨城県東海村で起きたウラン加工工場(株式会社ジェー・シー・オー)の臨界事故の際、事故現場である沈殿槽の周囲(冷却水ジャケット)に水がある場合とない場合を模擬して、臨界データを提供し、事故収束やその後の事故調査に貢献しました。

○安全設計や安全審査に貢献

 STACYにおいてこれまで取得したデータを評価し,まとめたわが国の臨界安全ハンドブックは、溶液燃料を扱う原子力施設等の安全設計や国の安全審査に活用されています。

STACYでは、1995年の初臨界以降、様々な形や大きさの炉心タンクとウラン硝酸水溶液(溶液燃料)を用いて、臨界データを取得してきました。なかには、2つのタンクが並んだ状態を想定し、その間隔やそれらの間に設置する中性子隔離材の核的効果を測定した相互干渉効果実験や、再処理工程においてウランペレットが硝酸に溶けていく状態を想定し、ウラン棒状燃料とウラン硝酸水溶液で構成される非均質炉心実験を行ってきました。それらの実験で得られた臨界データは、ウラン硝酸水溶液の成分に関する分析誤差や実験機器の誤差を考慮し、精度の高い臨界実験評価データとして国内外の研究機関に提供され、我が国の臨界安全ハンドブック(2009年)や国際臨界安全ベンチマーク評価プロジェクトが編さんするハンドブック(2010年)に掲載されました。

STACY
イメージ図

STACY
外観

STACYについて(諸元表)

名称 定常臨界実験装置 STACY(Static Experiment Critical Facility
初臨界日 1995年2月23日
運転回数 644(2010年11月時点)
寸法 外径約0.6 m×高さ約1.5 m (600円筒型炉心タンク)
外径約0.8 m×高さ約1.5 m(800円筒型炉心タンク)
幅約0.7 m×厚さ約0.3 m×高さ約1.5 m(280T平板型炉心タンク)
燃料 ウラン硝酸溶液,低濃縮ウラン燃料棒
最大熱出力 200W(原子力発電所の出力の約100万分の1以下)
最大過剰反応度 0.8ドル
※ドル:臨界からのずれを表す尺度。
1ドルを超えると、人手による運転操作では制御できない、急激な核分裂連鎖反応(出力暴走)が生じます。(TRACYなど過剰反応度が1ドルを超える試験研究炉もありますが、その場合は、運転操作に依らずに出力を自己抑制する特性を有していることが条件となります。)
特徴 世界では、溶液燃料の臨界実験装置は稀であり、なかでも商用再処理施設等で用いられる低濃縮ウラン硝酸水溶液を燃料としている装置はSTACYとTRACYのみです。
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