日本原子力研究開発機構(JAEA)は、「原子力の未来を切り拓き、人類社会の福祉に貢献する」をミッションに掲げ、安全確保の徹底を大前提として、我が国のエネルギーの安定確保及び地球環境問題の解決並びに新しい科学技術や産業の創生を目指した原子力の研究開発を総合的、計画的かつ効率的に行っています。
我が国における核物質管理技術等の向上に資するとともに、国際的な核不拡散体制の強化に貢献することを目的に2005年に核不拡散科学技術センター(NPSTC)が設置され、2011年に核物質管理科学技術推進部へ名称変更を行いました。業務内容として、適正な核物質管理、核不拡散技術開発、政府の政策立案支援、非核化支援、人材育成等に取組んできました。
他方、2010年4月に米国ワシントンDCにて核セキュリティ・サミットが開催され、日本政府は、ナショナル・ステートメントの中で、核テロの未然防止イニシアティブとして、アジア地域の核セキュリティ強化を目的とした支援センターを、JAEA内に設置することを表明しました。これを受け、2010年12月、JAEA内に「核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)」を設置しました。
2014年4月に「核物質管理科学技術推進部」と「核不拡散・核セキュリティ総合支援センター」は統合し、新たな「核不拡散・核セキュリティ総合支援センター」としてスタートしました(但し、原子力機構内施設に係る核物質管理や核物質防護対応業務は安全・核セキュリティ統括部へ移行)。
核不拡散・核セキュリティの重要性は国際社会において、安全とともに常に認識されており、特に近年は、核セキュリティ・サミットやIAEA閣僚会合など、核セキュリティ確保に向けた取組が世界各地で頻繁に開催されるに到っております。国内におきましても、2014年4月に閣議決定されました「エネルギー基本計画」におきまして、安全性を全てに優先させることはもちろんのことですが、核燃料の核拡散抵抗性の向上、保障措置技術や核鑑識・検知の強化等の国際研究協力の推進など、国際的な核不拡散及び核セキュリティの強化に貢献することが重要との認識が示されております。
核不拡散・核セキュリティ総合支援センターは、保障措置や核鑑識・検知技術開発、政策的な調査・分析、アジア地域を中心とした人材育成支援及びCTBT国際監視施設等の暫定運用等を通じて国内外の核不拡散・核セキュリティの強化に一層、貢献して参りたいと考えております。
2017年4月