原子炉の解体撤去には、作業者の放射線被ばくを防止しながら、様々な機器、構造物を解体していくため、種々の技術が必要となります。JPDRの解体にあたっては、図のような8項目について総合的な研究開発が行われました。
原子炉の廃止措置を安全に実施するためには、廃止措置に必要な作業を分析し、最適と考えられる方式や作業手順を選択する必要があり、次の項目についての評価が必要となります。
●作業時間、作業者の被ばく、廃棄物の発生量、費用等
解体システムエンジニアリングの開発では、これらの評価作業を効率よく行うことのできるプログラムが開発され、JPDRの解体の工程管理に使用されました。
解体作業に関して、一層の被ばく低減と作業能率の改善等を目的とした放射線管理技術を確立するために、次の装置などについて技術開発が行われました。
●搬出物品自動汚染検査装置
●高放射線量率測定装置
●改良型じんあいモニタ
●コンクリート廃材等区分管理用測定装置
●定型廃棄物容器表面汚染・線量率自動測定装置
●放射能の環境影響評価解析
放射能を帯びた鋼構造物及びコンクリート構造物の安全かつ円滑な解体を目的に、各々に適した解体工法・解体機器の開発が行われました。JPDRの解体実地試験においては、次の解体工法・解体機器が用いられました。
作業者の放射線被ばくの低減を図るためには、高い放射線環境下での作業を行うことのできる遠隔操作技術の開発が必要となります。このため、次のような研究開発が行われました。
●制御技術の研究及びセンサーの耐放射線試験
●作業ロボット装置の製作と試験
原子炉施設の解体に際して短期的かつ大量に発生する解体廃棄物の処理・保管技術の開発を目的として、次のような開発が行われました。
●廃棄物容器の開発
●廃棄物の減容、溶融処理技術の開
●固型化処理技術の開発
●表面汚染固定化処理技術の開発
解体に従事する作業者の放射線被ばくを低減し、発生する放射性廃棄物を減らすため、次のような解体関連除染技術の開発が行われました。
●解体前の系統除染技術
●解体後の汚染機器・配管等の除染技術
●汚染コンクリートの表面除染技術
運転を停止した原子炉施設に残存している放射能の評価は、原子炉の廃止措置実行計画を立案するために欠くことができない基本作業です。残存放射能の評価技術開発においては、JPDRの合理的な解体作業計画を策定するため、原子炉周りの放射化放射能量を評価するコードが整備され、試料採取の放射能実測値を用いてコードの検証が行われました。