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γ線検出システムの屋内バックグラウンド計算モデルの開発

目的pageTop

放射性廃棄物のクリアランスレベル相当の低いレベルを対象とするγ線測定システムでは,その検出限界を下げるために,建材中に含まれる自然放射性核種等に起因したバックグラウンドを下げることが重要となります。このため,測定システムを遮へい体で覆ったり,また逆同時計数によりコンプトン成分を低減すること等の努力が払われます。ここでは,γ線測定システムの検出限界評価や,測定システムへの遮へいの最適化に資するため,建家内のバックグラウンドを評価する計算モデルを開発しました。

計算モデル・手法pageTop

線源モデルには,各種の形状や大きさの部屋に対応できるように汎用性を考慮し,簡易なモデル(球殻モデル)を採用しました。建材はコンクリートとし,自然放射性核種の主たる3成分(40K,U系列,Th系列)が一様に分布すると仮定し、γ線輸送計算コードEGS4を用いて計算しました。


計算コード用の体系図

結果・考察pageTop

本評価モデルによる計算と実測の波高スペクトルを比較しました。よい一致を示していることから,本モデルの有効性が確かめられました。ここでは、実際の厚みであるコンクリート25cm厚を用いて計算しています。自然3成分の組成比は、それぞれの主たる全吸収ピーク計数率から決定しました。なお、コンクリートの厚みとして25cmをとると,例えば大地放射線等の外部からの影響を受けにくく,窓の極近傍を除けば,バックグラウンドの変動は小さいことを実験と計算により確認しています。


図2:本評価モデルによる計算と実測の波高スペクトルの比較

今後の予定pageTop

今後は,本評価モデルを用いて,γ線測定システムの設計,遮へい方式などの検討を行っていく予定です。

参考文献pageTop

  • M.Tsutsumi et.al., J. Nucl. Sci. Technol. , Vol.38,1109-1114 (2001)
  • T.Oishi et. al., J. Nucl. Sci. Technol. , Vol.40(6),441-445 (2003)
  • 大石哲也 RISTニュース、36、12-20 (2003)
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