原子力機構は、原子力留学制度*1や国際機関等への派遣制度*2を拡充させることにより、国際的な視野を身に付けた若手職員の育成に取り組んでいます。
原子力留学制度や国際機関等への派遣制度の他にも国内外における様々な研修*3を拡充し、外国語によるプレゼンテーションやディスカッション等の実用的なスキルを身に付けることにより、国際的視点を持った世界的に活躍できる職員の育成に力を入れています。
Yuta KUMAGAI
Researcher
Kungliga Tekniska högskolan
※取材時点の所属及び組織名称
放射線によって引き起こされる二酸化ウランと水との化学反応を研究するため、スウェーデン王立工科大学(KTH)に1年間の留学をしました。二酸化ウランは水には溶けにくい固体の酸化物ですが、原子炉で燃料として利用されると強い放射線を発するようになり、この放射線の作用によって水と反応するようになります。この化学反応はウランを水に溶かしてしまうことが知られています。
休日には留学生間の交流イベントに参加したり、研究室の同僚とお祭りに出かけたり、日本人の友人と観光をしてまわるなど、とにかく海外生活を満喫しました。大学の友人たちとシュールストレミングを試したバーベキューは記憶に残る思い出です。
留学先では、二酸化ウランが水に溶けていく反応過程でのウランの酸化状態の変化や、二酸化ウランの表面に有機物の吸着した場合の反応挙動を明らかにしました。
新しい環境に飛び込み、英語で交渉しながら自分の研究に必要な物品や装置をそろえるのは大変な労力でしたが、帰国後に参加したシチリアでの学会では留学先の教授の推薦で招待講演を行い、国際的な研究者コミュニティの一員として認められたと実感することができました。