深地層研究計画の状況

平成28年9月の調査研究の状況

平成28年9月30日(金)更新

第26回 OECD/NEA Clay Club定例会議に出席

9月21日(水)から22日(木)に、フランスのブローニュ・ビアンクールにあるOECD/NEA*1本部において開催されたClay Club*2の第26回定例会議に出席しました。  本会議には、ベルギー・カナダ・フランス・ドイツ・ハンガリー・日本・スイス・英国から23名の研究者が出席しました。会議では、各国での調査研究の現状に関する情報交換が行われるとともに、Clay Clubにおける今後2年間の実施内容について最終確認がなされました。  幌延深地層研究センターからは、深度350m調査坑道における調査研究として、人工バリア性能確認試験で得られた加熱試験開始後1年程度までの緩衝材中の温度分布等を紹介しました。

*1 OECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)とは…
 原子力発電を安全で環境に調和した経済的なエネルギー源として開発利用することを加盟諸国政府間の協力により促進する経済協力開発機構(OECD)傘下の国際機関。

*2 Clay Club(クレイ・クラブ)とは…
 OECD/NEAの放射性廃棄物管理委員会(RWMC)の下に置かれた常設ワーキンググループの1つであるセーフティーケース統合グループ(IGSC)のプロジェクト。

写真 定例会議の様子

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平成28年9月30日(金)更新

学生受入制度による大学院生の受入

日本原子力研究開発機構では原子力分野の人材育成を目的とした 学生受入制度 を設けており、この制度を利用して、幌延深地層研究センターでは、9月6日(火)から13日(火)の期間で、日本大学大学院 総合基礎科学研究科の大学院生1名が実習に参加しました。
 実習では、「坑道周辺岩盤の損傷状態評価手法の習得」を目的として、深度140m調査坑道において、 弾性波トモグラフィ調査 の実施と測定データの解析、 内空変位測定 および地下水の水質分析を行い、坑道掘削後の岩盤物性の経時変化を評価しました。

写真1 深度140m調査坑道における
弾性波トモグラフィ調査の様子

写真2 学生へ指導する様子

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平成28年9月30日(金)更新

単一割れ目における物質移行試験 ボーリング孔掘削

深度350m調査坑道では、天然バリア(岩盤)および人工バリア(緩衝材)中での物質の挙動を把握するための物質移行試験を実施しています。これまで、単一割れ目内の地下水の動きを把握するため、西周回坑道の北側において収着性*1および非収着性のトレーサー*2を用いた原位置試験を行ってきました( 平成26年10月2日 平成27年2月20日 平成27年9月11日 掲載記事参照)。
 今年度は、単一割れ目内の物質の動きや拡がり方を把握する試験を行います。本試験のため、ボーリング孔の掘削を西周回坑道(換気立坑付近;図)において9月29日より開始しました(写真)。

*1 収着性とは…
 固体や液体等の表面に物質がくっつく現象(吸着)と、固体や液面の内部に取り込まれる現象(吸収)の両方をあわせて収着と言い、収着を起こしやすい物質の性質を指します。

*2 トレーサーとは…
 地下水の流れの方向や流れる時間などを調べるために、地下水に目印としてまぜる染料やその他の薬品を指します。
 幌延深地層研究センターでは一般的な試薬を用い、放射性トレーサーを利用した原位置トレーサー試験を行うことはありません。

図 物質移行試験の位置(イメージ)

写真 ボーリング孔掘削作業の様子

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平成28年9月16日(金)更新

WMESS2016における研究成果の発表

幌延深地層研究センターでは、地質構造モデルに関する調査・解析技術の開発の一環として、地上からのボーリング調査や坑道掘削時に行われる坑道壁面の地質観察の結果に基づき、断層の分布について調査しています。これまでの調査では、研究坑道周辺の稚内層(地下施設では深度約250m以深に分布)における2種類の断層(層理面*1に平行な断層とそれと交差する断層)の分布に関する特徴やそれらの交差関係について研究してきました。
 この成果を9月5日(月)から8日(木)にかけてチェコ共和国のプラハにて開催されたWMESS(World Multidisciplinary Earth Sciences Symposium:世界学際的地球科学シンポジウム)2016において発表しました。本会議には、約50か国から500名程度の研究者や技術者が参加し、地球科学に関する様々な分野の研究成果の発表が行われました。
 当センターのポスター発表では、参加者から質問があり、断層の詳細な特徴や研究の意義、今後の展望に関して議論を交わしました。

*1 層理面とは…
 地層を構成している層と層の境界面をいいます。

写真1 WMESS2016の会場

写真2 ポスター発表の様子

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平成28年9月9日(金)更新

「幌延深地層研究センターにおける掘削損傷領域の可視化手法の検討」
-割れ目への樹脂充填状況の確認その2-(京都大学との共同研究)

京都大学との共同研究「幌延深地層研究センターにおける掘削損傷領域の可視化手法の検討」( 2月5日掲載記事 参照)に関する作業として、 深度350m調査坑道 の試験坑道3において樹脂*を充填したボーリング孔周辺の岩石試料の採取および観察を実施しました( 8月5日掲載記事 参照)。
 今回の試料採取では、前回よりも径が大きい、直径約13cmの大きさで注入孔を囲うように岩石試料を採取しました。さらに、試料の観察および試料採取後の孔内の観察により、割れ目への樹脂の充填状況を確認しました。
 写真1は岩石試料の採取作業の様子を、写真2は採取した岩石試料を示します。採取した岩石試料を紫外線照射下で観察したところ、写真2の下部に示すように、割れ目内に発光している部分を確認しました。また、試料採取後の孔内に紫外線を照射したところ、写真3に示すように、坑道の壁面の近くで発光する割れ目を確認することができました。
 これにより、今回採用した方法が、坑道周辺に発達した割れ目の可視化に有効である可能性が示されました。今後も試料採取と観察を継続し、掘削損傷領域内部の割れ目の開口幅や連結性に関する情報を整理するとともに、掘削損傷領域の可視化手法の構築を進めていきます。

*使用した樹脂には蛍光剤が混ぜ込んであり、紫外線を照射すると青く光る性質を有しています。

写真1 岩石試料採取作業の様子

写真2 採取した岩石試料(写真上:自然光での撮影)と、
割れ目内に充填された樹脂(写真下:紫外線照射下での撮影)

写真3 坑道壁面周辺の樹脂が充填された
割れ目の様子
(掘削孔内、紫外線照射下での撮影)

平成28年9月2日(金)更新

健岩部における物質移行試験 水理試験

深度350m調査坑道では、天然バリア(岩盤)および人工バリア(緩衝材)中での物質の挙動を把握するための物質移行試験を実施しています。
 今年度は、天然バリア(岩盤)を対象に割れ目がない岩盤部分(健岩部)での物質の動きや拡がり方を把握するために、収着性*1のトレーサー*2を用いた原位置試験を東周回坑道の北東部にて行います。トレーサー試験に使用するボーリング孔の掘削を平成28年7月28日より開始し( 7月29日掲載記事 参照)、引き続き、岩盤中の水の流れ易さなどを調べる水理試験を9月1日より開始しています。写真は水理試験装置をボーリング孔内へ挿入する様子です。

*1 収着性とは…
 固体や液体等の表面に物質がくっつく現象(吸着)と、固体や液面の内部に取り込まれる現象(吸収)の両方をあわせて収着と言い、収着を起こしやすい物質の性質を指します。

*2 トレーサーとは…
 地下水の流れの方向や流れる時間などを調べるために、地下水に目印としてまぜる染料やその他の薬品を指します。
 幌延深地層研究センターでは一般的な試薬を用い、放射性トレーサーを利用した原位置トレーサー試験を行うことはありません。

写真 水理試験装置をボーリング孔内へ挿入する様子

これまでにご紹介した調査研究の状況

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