深地層研究計画の状況

平成28年7月の調査研究の状況

平成28年7月29日(金)更新

健岩部における物質移行試験 ボーリング孔掘削

深度350m調査坑道では、天然バリア(岩盤)および人工バリア(緩衝材)中での物質の挙動を把握するための物質移行試験を実施しています。これまで割れ目がない岩盤部分(健岩部)での物質の動きや拡がり方を把握するため、収着性*1のトレーサー*2を用いた原位置試験を行ってきました( 平成26年7月18日 平成27年12月11日 掲載記事参照)。
 今年度は、試験条件(トレーサーの種類や水質など)を変えた原位置試験を東周回坑道の北東部において(図)実施します。試験に使用するボーリング孔の掘削を平成28年7月28日に開始しました(写真)。

*1 収着性とは…
 固体や液体等の表面に物質がくっつく現象(吸着)と、固体や液面の内部に取り込まれる現象(吸収)の両方をあわせて収着と言い、収着を起こしやすい物質の性質を指します。

*2 トレーサーとは…
 地下水の流れの方向や流れる時間などを調べるために、地下水に目印としてまぜる染料やその他の薬品を指します。幌延深地層研究センターでは一般的な試薬を用い、放射性トレーサーを利用した原位置トレーサー試験を行うことはありません。

図 物質移行試験の位置(イメージ)

写真 ボーリング孔掘削の様子

写真をクリックすると大きなサイズで写真をご覧いただけます。

平成28年7月29日(金)更新

人工バリア性能確認試験の現状についての研究発表
(日本原子力学会バックエンド部会、第32回バックエンド夏期セミナー)

平成28年6月26日(日)から7月1日(金)にかけて、パシフィコ横浜(写真1)において、地球化学の研究に係わる国際会議であるゴールドシュミット2016が開催されました。会議には、50ヶ国以上から3500人程度の研究者が参加し、141のセッションに分かれて研究成果の発表が行われました(写真2)。
 幌延深地層研究センターからは、「放射性廃棄物の地層処分」に係わるセッションに2名が参加しました。会議では、幌延の地下水を対象とした地球化学研究として、微生物の作用に伴う地下水中の炭素を含むガス(メタンや二酸化炭素)の安定同位体*1への影響についての研究および地下水中に存在するコロイド(1nm~1μmの大きさの粒子)濃度の測定方法に関する研究について発表しました。

*1 安定同位体とは…
 原子番号が等しく、質量数が異なる原子を同位体と呼びますが、その中で、放射線を出さず、自発的には他の核種に変化しない同位体を安定同位体と呼びます。

写真1 開催場所(パシフィコ横浜)

写真2 ポスター発表会場の様子

写真をクリックすると大きなサイズで写真をご覧いただけます。

これまでにご紹介した調査研究の状況

Copyright(C) Japan Atomic Energy Agency. All Rights Reserved.