平成26年7月18日(金)更新
深度350m調査坑道では、天然バリア(岩盤)および人工バリア(緩衝材)中での物質の挙動を計測するための物質移行試験を実施します。そのうち、
東周回坑道
の北東部において、割れ目などがない岩盤部分(健岩部)での拡散現象によるトレーサー*1の移動を把握する試験(原位置拡散試験)に着手しました。
試験で使用するボーリング孔の掘削状況を写真に、ボーリング孔の仕様と試験実施イメージを図に示します。1つのボーリング孔の孔内には緩衝材を設置し、これにより、天然バリアと人工バリア中における物質の挙動の比較を行います。また、ボーリング孔径を変えることで異なる大きさでの試験結果の比較も行います。全てのボーリング孔にトレーサー溶液を封入し、その濃度の時間変化を計測することにより、天然バリアおよび人工バリア中での物質の挙動を把握していきます。
*1 トレーサーとは…
地下水の流れの方向や流れる時間などを調べるために、地下水に目印としてまぜる染料やその他の薬品を指します。幌延深地層研究センターでは一般的な試薬を用い、放射性トレーサーを利用した原位置トレーサー試験を行うことはありません。
写真 ボーリング孔の掘削状況
(摩擦熱をとるために水を使いながら掘削しています)
図 ボーリング孔の仕様と試験実施イメージ
写真をクリックすると大きなサイズで写真をご覧いただけます。
平成26年7月11日(金)更新
深度350m調査坑道(
試験坑道4
)で実施する人工バリア性能確認試験で用いる模擬オーバーパック(
6月13日掲載記事
参照)力学的な特性を把握するために、引張試験を実施しました。
この試験では、模擬オーバーパックを製作した材料の一部を、写真1に示すような形状のテストピースに加工します。このテストピースの両端を引張り、破断する際の強さや、伸びた長さなどを計測します。試験結果から、製作した模擬オーバーパック材料が所定の力学的な特性を満たすことが確認されました。
写真をクリックすると大きなサイズで写真をご覧いただけます。
平成26年7月4日(金)更新
幌延深地層研究センターでは、岩盤の圧力状態を把握するため、深度140m、250m、350mの調査坑道において、水圧破砕法*により岩盤に作用する圧力(初期地圧)を測定してきました。
今回は、
350m調査坑道東周回坑道
の北東部において、岩盤に作用している圧力が解放されたときの微小な変形から初期地圧を求める方法(応力解放法)を適用してみました。
図に、測定の概略を示します。
手順としては、
1.直径218mmで削孔されたボーリング孔底から直径46mmのパイロットボーリングを削孔。
2.その中に微小な変形を測定できるゲージ(測定器)を設置。
3.ゲージと岩盤の隙間を埋めるために、セメントで埋孔。
4.セメントが固化した後に、ゲージ設置区間を218mmの径で削孔(オーバーコアリング)。
5.その時の微小な変形量を計測しながらゲージ設置部分の岩石を切り離す。
写真は、オーバーコアリング実施中(上記4.)の現場状況です。
その後、地上の実験室で、オーバーコアリングで採取した岩石に圧縮試験機で圧力を載荷し、微小な変形が元に戻る時の圧力から初期地圧を求めます。
*1 水圧破砕法とは…
ボーリング孔内の一定区間(試験区間)を閉塞し、水圧をかけて試験区間に亀裂を生じさせて、そのときの圧力の条件から初期地圧を求める方法のこと。
写真 オーバーコアリング実施状況
(摩擦熱をとるために水を使いながら掘削しています)
図 応力解放法による初期地圧測定のイメージ
写真をクリックすると大きなサイズで写真をご覧いただけます。