深地層研究計画の状況

平成26年6月の調査研究の状況

平成26年6月27日(金)更新

オーバーパック腐食試験 模擬オーバーパックの製作

深度350m調査坑道( 試験坑道3 )で実施するオーバーパック腐食試験では、図に示すように、棒状に加工した模擬オーバーパックの周囲に各種計測器を設置した直径30cmの緩衝材(写真1: 1月31日掲載記事 参照)を配置し、今後数年間にわたり、オーバーパックの候補材料である炭素鋼の腐食の状況を確認していきます。  今回、オーバーパック腐食試験で使用する模擬オーバーパック(写真2)を人工バリア性能確認試験で使用するものと同様に、炭素鋼を鍛造して製作しました( 6月13日掲載記事 参照)。 実際のオーバーパックからの発熱を模擬するために内部にヒーターを設置し、長さ120cmの発熱部を設けました。

図 オーバーパック腐食試験断面図

写真1 緩衝材

写真2 棒状に加工した模擬オーバーパック

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平成26年6月20日(金)更新

人工バリア性能確認試験 模擬オーバーパックの材料の引張試験

4月18日掲載の「地下施設整備工事の状況」 および 5月2日掲載の「調査研究の状況」 でご紹介したように、東立坑の深度374mから380mの坑壁に低アルカリ性セメントを用いた覆工コンクリートを施工しました。
この覆工コンクリートが周辺の岩盤及び地下水へ与える影響を確認するため、定期的に壁面からコンクリートと岩石の試料や地下水を採取して分析を行います。
写真は、立坑壁面から試料を採取している様子です。今後、試料を採取した後の孔に、立坑近傍の地下水を採取するための装置を設置します。

試料採取の様子

採取した試料
(点線はコンクリートと岩盤の境界を示す)

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平成26年6月13日(金)更新

人工バリア性能確認試験 模擬オーバーパックの製作

深度350m調査坑道(試験坑道4)で実施する人工バリア性能確認試験で用いる模擬オーバーパックを製作しています。この模擬オーバーパックは外径が82cm、高さが173cmで、実際のオーバーパックと同等の重量(5.8トン)および発熱量となるように、錘(おもり)やヒーターを内蔵する設計としています。模擬オーバーパックの材料は炭素鋼であり、鍛造*1により製作されます。
 今回は、中空の胴体部と上下の蓋部に分けて製作しました。写真1は加熱した炭素鋼のかたまりを円柱状にしている様子(鍛伸)、写真2は中空にして鍛造している様子(中空鍛造)です。写真3は鍛造終了後の胴体部、写真4は鍛造直後の蓋部および錘です(手前のかたまりをスライスして上下の蓋を製作します)。ヒーターを設置するために錘(写真4後方)はドーナツ状になっています。
 今後、これらの部材をそれぞれ加工し、坑道内で組み立てて試験に使用する予定です。

*1 鍛造(たんぞう)とは…
 金属に力を加えて形を変える(成形)とともに金属組織を強くすることで、「鍛」は鍛錬の「鍛」、「造」は造る、つまり鍛えて造るという意味です。(一般社団法人 日本鍛造協会HPより)

写真1 胴体部の鍛造(鍛伸)

写真2 胴体部の鍛造(中空鍛造)

写真3 胴体部(鍛造後)

写真4 鍛造直後の蓋部(手前)
および錘(後方)

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平成26年6月6日(金)更新

幌延深地層研究センターで実施した掘削影響領域の調査結果の発表

幌延深地層研究センターの地下施設調査坑道において、掘削影響領域の調査として弾性波トモグラフィ調査を実施しています( 平成25年7月12日掲載記事 参照)。これまで、坑道周辺岩盤の弾性波速度の低下した範囲が把握されていましたが、このほど、壁面で観察された割れ目の三次元的な広がりを考慮することで、坑道周辺の弾性波速度の低下と割れ目の密度との関係を明らかにしました。
 この成果を論文*に取りまとめ、平成26年5月27日~29日にスペインのビーゴにて開催された、「国際岩の力学会」主催のシンポジウム「The 2014 ISRM European Rock Mechanics Symposium (EUROCK2014)」において発表しました。本会議では、土木・資源分野における岩盤力学、工学技術に関する論文発表が40ヶ国から249件ありました。

* 参考文献
Aoyagi, K., Tsusaka, K., Kondo, K. & Inagaki, D., 2014, Quantitative assessment of an Excavation Damaged Zone from variations in seismic velocity and fracture distribution around a gallery in the Horonobe Underground Research Laboratory, Proc. of the 2014 ISRM European Rock Mechanics Symposium (EUROCK2014): 487-492.

研究発表の様子

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これまでにご紹介した調査研究の状況

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