平成27年9月18日(金)更新
平成27年9月9日(水)から11日(金)に静岡大学において、日本原子力学会2015年秋の大会が開催されました。幌延深地層研究センターからは、「放射性廃棄物処分と環境」のセッションに2名が参加し、深度350m調査坑道( 試験坑道4 )で実施している 人工バリア性能確認試験 における、緩衝材や埋め戻し材の施工状況および埋め戻し材の品質管理手法について発表しました。本会議は、原子力および放射線の平和利用に関する成果の活用と普及を進める事を目的にした学術会議であり、全体で約750件の発表がありました。
写真 発表の様子
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平成27年9月11日(金)更新
深度350m調査坑道では、天然バリア(岩盤)および人工バリア(緩衝材)中での物質の挙動を把握するための物質移行試験を実施しています。これまで、単一割れ目内の地下水の動きを把握するため、非収着性のトレーサーを用いた原位置試験を行ってきました(平成27年2月20日掲載記事参照)。引き続き、単一割れ目内の物質の動きや拡がり方を把握するため、収着性のトレーサーを用いた原位置試験を開始しました。
図に原位置試験のイメージを、写真1に試験に使用したトレーサー溶液(複数のトレーサーを混合)を示します。写真2は試験を行うボーリング孔を示しています。注入孔からトレーサーを注入し、揚水孔から採水することで、単一割れ目内における物質の動きや拡がり方を調べます。
*1トレーサーとは…
地下水の流れの方向や流れる時間などを調べるために、地下水に目印として混ぜる染料や薬品を指します。幌延深地層研究センターでは、放射性トレーサーを利用した原位置トレーサー試験を行うことはありません。
*2 収着性とは…
固体や液体等の表面に物質がくっつく現象(吸着)と、固体や液面の内部に取り込まれる現象(吸収)の両方をあわせて収着と言い、収着を起こしやすい物質の性質を指します。
図 坑道からの試験実施イメージ
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平成27年9月4日(金)更新
幌延深地層研究センターでは、地質環境の長期安定性に関する研究として、過去から現在に至る地質環境の長期変遷のプロセスやメカニズムを明らかにするための研究開発を進めています。これまで、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究により、幌延の地下水中の炭素を含むガス(メタンや二酸化炭素)を対象に安定同位体分析*1を行い、地下深部における地下水の滞留状態を評価する手法を検討してきました。
その成果を第13回 国際ガス地球化学会議(8月24日~27日にかけて中国・成都市で開催)で発表しました(写真1)。各国から約100名の研究者が出席し、地球上における様々な起源のガスを対象にした研究内容が発表されました。
幌延深地層研究センターの研究者による発表*2は、最優秀発表賞を受賞しました(写真2)。
*1 安定同位体とは…
原子番号が等しく、質量数が異なる原子を同位体と呼びますが、その中で、放射線を出さず、自発的には他の核種に変化しない同位体を安定同位体と呼びます。
*2 参考文献
Miyakawa, K., T. Mizuno, E. Ishii, A. Hirota, D.D. Komatsu, K. Ikeya, and U. Tsunogai (2015) Relative burial-depth-profiles of carbon isotope ratios of methane and carbon dioxide preserved for up to 1 million years. International Conference on Gas Geochemistry 2015 Abstracts, 36-38.
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