
廃止措置解体技術検証フィールドでは、複合現実感(MixedReality:MR)システムを利用してふげんのプラント内を実寸の臨場感で仮想体験できる設備を整備しています。ここでは、廃止措置作業で必要となる現場の事前確認・検討、機材の操作性確認、作業者の被ばく予測などを可能とします。
廃止措置作業を安全かつ合理的に実施するためには、作業手順などを事前に十分検討する必要があります。この方法の一つとして、複合現実感(MR)システムを活用することにより現場に入域することなく、実寸大で臨場感ある現場を仮想体験するという方法があります。
MRシステムでは、現場の線量当量率(mSv/h)の可視化、解体設備の解体手順の検討、仮設機材(足場、養生、遮蔽)の設置場所や大きさの検討、解体作業に必要な設備の搬入ルートや干渉確認が可能です。
MRシステムは、MRシステム開発室に設置され、HMD(頭部装着ディスプレー)、MR用PC、光学カメラ、50インチディスプレーなどから構成されています。
光学カメラによりHMDやハンドツールの位置・姿勢を検出することで、MR体験者に正しい表示画像(3D)を見せることができます。MRの稼働領域は約幅4.5m×奥行4.0m×高さ2.5mの範囲で、この中を動きながら現場体験をすることが可能です。
MR体験者は1名で、MR体験者以外の人はMR体験者の見ている映像を2D映像としてディスプレーで確認することができます。
MRシステム構成
このMRシステムは廃止措置作業に参入したい県内企業を支援し、人材育成、技術力の向上を図るとともに大学生などの実習体験などに活用していただくことを想定しています。
●表-1 MRシステム主要仕様
●図-1MRシステム構成図(MRシステム開発室)
複合実現感(MR)システムを用いた訓練
●MRシステムを廃止措置作業に適用し、プラント内部を実寸大で作業員目線で観察したり、廃止措置作業の進捗の各段階での現状に合った最適な作業手順(搬入、設置、解体、搬出など)等の教育・訓練に用います。
<主な機能>
①最適な工事手順の検討
②作業被ばく線量の検討
③作業性の確認(工具類の干渉、作業姿勢等)
●管理区域
原子炉補助建屋1F :炉浄化系熱交換器室
原子炉建屋 1F :全域
ホンプ階:全域
モータ階~ドラム階 Aループ側
●非管理区域
原子炉補助建屋3F :換気設備一般「200系」
原子炉補助建屋B2F:亜鉛注入装置
タービン建屋 B1F:空気圧縮設備(制御用空気設備、雑用空気設備)
屋外 :一般焼却炉
屋外 :取水口設備(循環水ポンプ、海水除塵装置等)