廃 止 措 置 実 施 方 針
(核燃料物質使用施設・政令第41条非該当施設)
平成31年1月
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
青森研究開発センター
一 氏名又は名称及び住所
氏名又は名称 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
住 所 茨城県那珂郡東海村大字舟石川765番地1
二 工場又は事業所の名称及び所在地
名 称 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
青森研究開発センター
所
在 地 青森県むつ市港町4番地24号
三 廃止措置の対象となることが見込まれる原子力施設(以下「廃止措置対象施設」という。)及びその敷地
1.廃止措置対象施設
廃止措置対象施設は、大湊施設研究棟内にある核燃料物質使用施設であり、試料調製室、分析室、計測室II、汚染検査室、給排気室及び廃液タンク室で構成される。
2.敷地
大湊施設研究棟を設置する場所は青森県むつ市の下北埠頭の南端に位置し、敷地の面積は約36,000m2である。図1に敷地範囲を示す。
図1 大湊施設敷地図
3.廃止措置対象施設の状況
大湊施設研究棟の核燃料物質使用施設は、昭和44年に建設された研究棟の一部について平成8年2月20日に許可を受けた施設である。平成14年5月15日には、「使用施設の位置、構造及び設備」に関する記載の一部を変更するための変更許可申請を行い、今日に至っている。
特になし
四 解体の対象となる施設及びその解体の方法
1.解体の対象となる施設
大湊施設研究棟の核燃料物質使用施設の解体の対象となる施設・設備等は、以下のとおりである。
施設区分 |
設備等 |
|
使用施設 |
実験設備 |
ドラフトチャンバー 流し台 実験台 クリーンベンチ α線スペクトロメータ 質量分析装置 |
放射線管理設備 |
サーベイメータ α放射能測定装置 排気ダストモニタ |
|
貯蔵施設 |
貯蔵箱 |
|
気体廃棄施設 |
廃棄処理ユニット ダクト |
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液体廃棄施設 |
廃液中継タンク 貯留タンク(2基) ポンプ、バルブ |
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固体廃棄施設 |
廃棄物保管庫 |
2.解体の方法
・廃止措置の実施に当たっては、法令等を遵守することはもとより、安全の確保を最優先に、放射線被ばく線量及び放射性廃棄物発生量の低減に努め、保安のために必要な機能を維持管理しつつ着実に進める。
・放射線業務従事者の被ばく線量については、法令に定める線量限度を超えないことはもとより、合理的に達成可能な限り低減する。
・放射性気体、液体廃棄物については、周辺公衆の被ばく線量を合理的に達成可能な限り低減するように、放出管理する。
・放射性物質により汚染された設備の解体撤去に当たっては、必要に応じて放射性物質による汚染を除去する。発生した放射性固体廃棄物は施設外に搬出するか施設内に保管し、廃止措置終了までに他施設へ搬出するか廃棄事業者の廃棄施設に廃棄する。
・貯蔵施設に貯蔵している核燃料物質は、搬出するまでの期間、引き続き貯蔵施設に貯蔵する。
・大湊施設研究棟は建屋解体を行わず、廃止措置対象施設の管理区域解除のみとし、廃止措置完了後は一般施設として利用する。
・廃止措置作業は以下の1)~6)について安全性を確保しつつ着実に進める。
・各段階の具体的内容については、廃止措置計画申請時に記載する。
1) 表面汚染、設備内部の除染
2) 設備の解体・撤去
3) 液体廃棄施設の解体・撤去
4) 汚染箇所の除去
5) 給排気設備等の撤去
6) 管理区域の解除
五 廃止措置に係る核燃料物質の管理及び譲渡し
1.核燃料物質の貯蔵場所ごとの種類
大湊施設研究棟の核燃料物質使用施設の貯蔵施設は以下のとおりである。
貯蔵施設の名称 |
最大存在量(g) |
内容物の主な物理的・化学的性状 |
貯蔵箱1基 |
(1) 天然ウラン:310g (2) 50%濃縮ウラン:1g (3) プルトニウム239及び240:1×10-4g (4) プルトニウム242:1×10-4g |
天然ウランは金属及び硝酸溶液として、50%濃縮ウランは硝酸溶液として、また、プルトニウムは硝酸溶液及びステンレス板上に電着した状態で貯蔵する。 |
2.核燃料物質の管理
貯蔵する核燃料物質の種類、質量を管理し上記貯蔵施設にて保管する。なお、公表時点で当該貯蔵施設に、核燃料物質は保管していない。
3.核燃料物質の譲渡し
核燃料物質は、大湊施設研究棟の核燃料物質使用施設の貯蔵施設の機能を停止する前までに当該貯蔵施設から他施設に搬出する。
六 廃止措置に係る核燃料物質による汚染の除去(核燃料物質による汚染分布とその評価方法を含む)
1.核燃料物質による汚染の分布とその評価方法
大湊施設研究棟の核燃料物質使用施設は、核燃料物質を使用した設備を設置した室であるが、原子炉施設等と比べて使用した核燃料物質の放射能レベルが低く、原子炉のような放射化も生じていない。
これまで核燃料物質を使用してきた設備の内部には、核燃料物質が残留している可能性があるため、放射線作業計画の立案に当たり、サーベイ結果等から汚染レベルを推定する。
一部の設備の内部には核燃料物質による汚染があるが、詳細なサーベイを行い、汚染レベルを明確にする。
2.除染の方法
設備内部の遊離性汚染は、拭き取り等により可能な限り除去する。
七 廃止措置において廃棄する核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の発生量の見込み及び廃棄
1.放射性気体廃棄物の廃棄
廃止措置期間中に発生する放射性気体廃棄物は、金属、コンクリート等の切断等において発生する放射性塵埃である。これらの放射性気体廃棄物が発生する場合は、気体廃棄施設で除去した後、濃度限度を超えていないことを管理する。
2.放射性液体廃棄物の廃棄
廃止措置期間中に発生する放射性液体廃棄物は、使用中と同様、分析廃液、施設廃水等である。これらの放射性液体廃棄物が発生する場合は、許可書に記載された放出管理を実施する。
3.放射性固体廃棄物の廃棄
廃止措置期間中に発生する放射性固体廃棄物は、主として、施設・設備の解体で発生する金属、コンクリート等である。なお、廃止措置に向けた措置に着手する時には保管廃棄物は全て搬出しているものと想定した。
廃止措置期間全体での放射性固体廃棄物の推定発生量
放射能レベル区分 |
発生量(トン) |
低レベル放射性廃棄物 [放射能レベルの極めて低いもの(L3)] |
約18 |
合 計 |
約18 |
八 廃止措置に伴う放射線被ばくの管理
1.廃止措置期間中の放射線管理
大湊施設研究棟の核燃料物質使用施設の解体・撤去等に伴う放射線被ばく管理については、以下のとおり実施する。
養生シートで隔離したエリア内で解体するとともに、サーベイエリアを設定し、エリア退出時の汚染チェックを確実に実施する。
設備・機器の撤去に当たっては、作業場所の線量当量率等のモニタリング、作業時間の管理等による外部被ばくの低減及び呼吸保護具の着用等による内部被ばくの低減を図る。
2.廃止措置期間の平常時における周辺公衆の線量の評価
排気はプレフィルタ及び高性能フィルタでろ過し、放出する。また、排水中の放射性物質は、周辺監視区域外の水中の濃度限度以下であることを確認して放出する。
九 廃止措置中の過失、機械または装置の故障、地震、火災などがあった場合に発生することが想定される事故の種類、程度、影響等
政令第41条非該当施設であり、一般公衆へ影響を与えるとは考えられない。
十 廃止措置期間中に機能を維持すべき原子力施設等及びその機能並びにその機能を維持すべき期間
1.廃止措置期間中に維持管理すべき施設の考え方
廃止に向けた措置期間中においては、(1)~(4)に示す建物、設備等は維持される。以下に、対象となる建物、設備等に対する維持すべき機能及び期間を示す。
漏洩防止及び放射線遮蔽のため、管理区域解除まで維持・管理される。
貯蔵している核燃料物質の点検・管理のための核燃料物質の取扱施設及び貯蔵施設の安全確保上必要な機能は、管理区域解除まで維持される。
気体廃棄施設及び液体廃棄施設の機能は、管理区域解除まで維持される。固体廃棄施設の機能(保管場所)についても、固体廃棄物の払出しまで維持される。
放射線管理施設の機能は、管理区域解除まで維持される。
十一 廃止措置に要する費用の見積り及びその資金の調達の方法 1.廃止措置に要する費用の見積もり 作業で発生する解体廃棄物量から想定される使用施設の廃止措置に要する総見積額は、約1.1億円である。 廃止措置に要する費用の見積額※ 単位:億円 施設解体費 廃棄物処理処分費 合計※ 約0.50 約0.57 約1.1 ※端数処理により、「施設解体費」と「廃棄物処分費」の合計と「合計」の記載は一致しない場合がある。 2.資金の調達の方法 一般会計運営費交付金及び一般会計施設整備補助金により充当する計画である。
十二 廃止措置の実施体制
1.廃止措置の実施体制
大湊施設研究棟の核燃料物質使用施設の廃止措置においては、許可申請書及び青森研究開発センター少量核燃料物質使用施設等保安規則に記載された体制の下で実施する。また、廃止措置計画認可申請時においても、使用中と同様の体制を維持する。
2.廃止措置を適切に実施するために必要な情報の保持
青森研究開発センターで使用の許可を得て以来、十分な核燃料物質の使用経験を有している。また、廃止措置先行施設の情報を取り入れ、参考になる部分を廃止に向けた措置及び廃止措置に反映させる。
3.技術者の確保
廃止措置計画認可申請時において、使用中と同様に、必要な技術者及び有資格者を確保する。
4.技術者に対する教育・訓練
廃止措置に係る業務に従事する技術者に対しては、対象者、教育内容、教育時間等の実施計画を立てて、教育を実施する。
十三 廃止措置に係る品質保証計画
四に示す解体の対象となる施設は、政令第41条非該当設備であるため品質保証計画の策定を求められていないが、今後、品質保証計画を定め、使用施設等に係る保安上の業務を品質保証の考え方の基に適切に実施するよう検討する。
十四 廃止措置の工程
設備の解体工事は、廃棄事業者の廃棄施設の操業及び廃棄物の受入確認後に開始する。
項目 |
スケジュール |
・調査、準備 ・設備解体撤去 |
――(1年) ――(1年)
|
※記載した年数は暫定である。
十五 廃止措置実施方針の変更記録(作成若しくは変更又は見直しを行った日付、変更の内容及びその理由を含む)
No. 日付 変更箇所 変更理由 0 H30.12.25 廃止措置実施方針作成 - 1 H31. 1.30 五 廃止措置に係る核燃料物質の管理及び譲渡し (表中の最大存在量の記載を変更) 誤記の訂正(数値指数部にマイナス符号を追加)