国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 新型炉の研究開発

プラント設計・保全

安全性向上要素技術
計測技術

将来の高速炉に向けて、更なる安全性、経済性を向上させる取り組みとして、炉システム・機器の高度化のための設計・開発の推進と技術開発を行うとともに、炉心設計手法の開発、放射性廃棄物の減容及び有害度低減などの炉心性能を追求する新たな炉心概念の研究開発を行っています。

炉心安全向上技術開発

第4世代炉の国際標準としての高い安全性を確保するため、炉心安全向上技術開発に取り組んでいます。

  • 深層防護の第1~3レベル強化による高い信頼性・安全性と、第4レベル強化による頑健な安全設計
  • 過酷な事故への設計対応として、受動的な安全機能及び重大な炉心損傷に対する設計対策を導入
    • 「止める」に加えて、自然に止まる機能
    • 「冷やす」に加えて、自然に冷える機能
    • 「閉じ込める」 原子炉容器内・格納容器内で自然に終息する機能
深層防護の第1レベルから第4レベルの構成と、受動的安全機能の図解。上段には異常発生防止から過酷事故対応までの4段階が示されています。下段にはJSFRの例として、異常時の熱で磁力が落ち制御棒が重力で落下する仕組み(止まる)、ナトリウムの自然循環と大気への放熱(冷える)、原子炉容器と格納容器による二重の閉じ込め(閉じ込める)という、自然の摂理を利用した安全機構が詳しく描かれています。

計測技術の高度化

高速炉では、原子炉の炉心から取出した熱を加熱源として蒸気発生器で蒸気を発生させタービンを回し発電します。その熱の輸送には液体ナトリウムが用いられ、ポンプや熱交換機等のナトリウム機器で構成されるシステムが用いられています。

既に様々な高速炉用計装(温度計や流量計等)がナトリウム特有の課題(下記参照)を克服し実用化されていますが、現在は、より一層の安全性や信頼性向上を目指し、一部産学官による協働も行いながら、新たな原理に基づく計測手法の考案や最新技術を導入しながら高度化を進めています。ここではその一例を示します。

高速炉用計装としてナトリウムを使用する上での考慮事項の例
  • 使用温度高(耐熱性)、熱伝導率大(熱過渡大)
  • 測定原理に導電性を利用する事が可能(電気抵抗、電磁誘導等)
  • 一次系ナトリウムの放射化(ガンマ線の放出によるノイズ源)
  • 化学的に活性(ナトリウム漏えい、ナトリウム-水反応の早期検出)
  • 光学的に不透明(運転保守上、ナトリウム中の透視や可視化は有効)

レーザーを用いた微量元素検出手法の研究開発

測定対象物に短パルスレーザーを集光させて発生させたプラズマ照射により、測定対象物が原子化し構成元素を励起します。励起後に基底状態に遷移する際の微弱な原子発光を高感度で分光し測定する手法です。

万が一、配管等からナトリウムが漏えいした場合には、信号信頼性の高い手法によるいち早い検出が望まれます。ナトリウムの漏えいにより雰囲気中に浮遊するナトリウム化合物の微粒子を対象として10-10g/cc程度かそれ以下の微少量でも確実に応答する検出手法への応用が考えられています。

その他、微量元素の測定手法としての応用も検討しています。

レーザーで発生させたプラズマ発光の様子
金属製のケースに収納された試作検出装置。内部には『分析セル』と『空冷パルスレーザ』のユニットが配置されており、右上にサイズ(184mm×468mm×370mm)と重量(23.5kg)のスペックが記されています。
試作検出装置の例

超音波センサーによるナトリウム測定手法の研究開発

超音波を用いれば、ナトリウムを内包する容器や配管を貫通させずに、外側からセンサーを取り付けることで流速(流量)や温度を測定することが可能です。本手法は既設の容器や配管にも適用できるだけでなく、センサーを貫通させないためナトリウムの漏えい可能性を低くできる有効な手法です。

また、光学的に不透明なナトリウムの弱点を解決する手法として、超音波を用いた可視化技術の開発も実施しており、ナトリウム中に浸漬されたままで構造物の形状の健全性の確認が可能です。本手法の成立には、高温にも耐えられる超音波センサーや信号処理等の要素技術、それらを組み合わせるシステム化技術の研究開発が不可欠であるため、模擬的に水を用いた常温の実験や液体ナトリウムを用いた高温での実験(右図参照)、実験の現象理解やセンサーの設計評価に役立てるための数値シミュレーションを実施しています。

研究室内に整然と並ぶ、高温ナトリウム実験用の大規模なグローブボックス群。各装置には内部操作用の黒い手袋や、データ確認用のモニターが備え付けられた高度な実験環境の様子が示されています。
高温ナトリウムを取扱う実験に用いるグローブボックス
超音波センサー実験用装置例
超音波伝播の数値シミュレーションのアニメーション。暗い背景に青いワイヤーフレームで描かれた容器内において、上部の円筒形センサーから放射された超音波の波面(色付きの点群)が、下方向へ広がりながら伝播していく様子が示されています。
超音波の伝播シミュレーション

燃料・炉心構成要素の開発

内部ダクト付燃料集合体の開発

高燃焼度を実現するため、下部プレナム型燃料ピンを採用するとともに、ラッパ管材料を従来のオーステナイト鋼から照射安定性に優れたフェライト鋼とし、炉心損傷事故での再臨界回避のため、溶融燃料の排出機能を有する内部ダクトを燃料ピンバンドル部に設けた内部ダクト付燃料集合体の製作性に係る技術開発

内部ダクト付燃料集合体の詳細な構造図。ハンドリングヘッド、燃料ピン、内部ダクト、ラッパ管、エントランスノズルなどの構成要素の配置と、燃料ピンバンドル部の断面図が示されています。また、SUS316鋼とPNC-FMS鋼の異材溶接、被覆管のかしめ加工、内部ダクトとラッパ管の溶接など、製作に係る主要な技術開発項目が各部位に対応して解説されています。