国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 新型炉の研究開発

燃料サイクル・材料

革新燃料・材料の開発と設計

燃料の基礎特性評価

燃料の基礎特性評価の研究成果を示す図解。左から順に、3031ケルビンでのMOX溶融の様子を示す組織写真、本研究成果により改訂された状態図、日本(JAEA)と米・英・仏の熱伝導率データの比較グラフ、欠陥化学による物性値の関係評価図、およびこれら基礎物性データを反映した燃料ピンの温度解析シミュレーション結果が示されています。
物性データベースの構築とモデル開発
  • 融点、熱伝導率などの様々な基礎物性データ測定

    —— 主な成果

    • 融点測定結果による状態図の見直し
    • 熱伝導率に及ぼすO/M比,Pu, MAの影響評価
    • 熱力学データ(酸素ポテンシャル)の決定
    • 酸素及び金属拡散係数の温度、O/M依存性
  • データベースを構築し、関係式の導出
  • 国際協力を通した標準化へ貢献
  • 日米協力による照射挙動解析コードの開発
基礎物性研究成果をベースとした燃料技術の開発
  • 燃料設計コード
  • 照射挙動解析コード
  • 燃料製造条件の最適化技術

燃料材料開発

燃料材料開発の役割

  • 安全性・経済性に優れる高速炉を実現するための高性能燃料・材料の開発
  • 外部事象PRA手法の高速炉を利用した放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための技術開発に寄与する燃料・材料の開発開発

具体的には

  1. 酸化物分散強化型(ODS)フェライト鋼被覆管などの長寿命炉心材料の開発
  2. 燃料(マイナーアクチニド(MA)を含む混合酸化物(MOX)燃料など)の照射挙動評価
  3. 燃料の挙動解析コードの開発

※これらの開発を効率的に進めるため、日仏ASTRID協力,日米CNWG,GIFなどの国際協力を活用

1. 長寿命炉心材料の開発~製造技術~

高速炉燃料の高燃焼度化、MAの核変換性能向上に有効な長寿命燃料被覆管候補材であるODSフェライト鋼について、以下の研究開発を実施しています。

  • 製造技術開発(品質安定化、量産技術開発 等)
  • 材料特性評価(物性データや強度データの取得・評価、材料強度基準の整備 等)
ODSフェライト鋼被覆管の製造工程図。原料粉末の機械的合金化、熱間押出、冷間圧延などを経て被覆管が完成するまでのプロセスと、量産化に向けた大型アトライター装置の開発、および大型プレス等を用いた大型素管の試作の様子が写真付きで示されています。

2. 長寿命炉心材料の開発~特性評価~

ODS鋼被覆管の特性評価結果。左側にはミクロスケール組織とナノ酸化物粒子の微細組織写真、右側には試験装置と機械的特性のグラフが示されています。グラフからは、従来のSUS316やPNC-FMSと比較して、ODS鋼が700℃の高温下でも優れた引張強さとクリープ破断強さを有することが示されています。

3. 燃料の照射挙動評価

MAが燃料性能に及ぼす影響を評価するため、「常陽」で照射したMA含有MOX燃料の照射後試験を実施しています。

  • MA(Am)の再分布挙動等の照射データの取得・評価、挙動解析モデルへの反映 等
「常陽」での照射後試験によるAmの再分布挙動の評価例。左側にはAm-MOXおよびNp/Am-MOX燃料のピン構成図と照射条件、右側には照射後燃料ペレット組織の断面写真と、Am濃度の径方向分布グラフが示されています。グラフでは、気相・固相の拡散モデルによる計算値が実際の測定値とよく一致していることが確認できます。

4. 燃料挙動解析コードの開発

燃料挙動解析コードの開発体系図。ミクロな「燃料・材料」の組織変化や照射損傷モデルをベースに、単一の「燃料ピン」の温度分布や変形を解析する『CEDAR code』、さらにマクロな「燃料集合体」全体の熱流動やピン束の変形を有限要素法で解析する『BAMBOO code』へと、異なるスケールを評価する解析コード群の開発状況が示されています。

燃料設計手法開発

最新の燃料・材料物性値や常陽等の照射試験で得られた燃料挙動に係る知見に基づき開発した解析モデルを計算コードに反映し、米国や仏国との国際協力、OECD/NEAやIAEA等の国際機関との協力を活用しつつ、原子炉内で実際に生じる燃料のふるまいに応じた燃料設計を目指した解析コードの開発・整備、米国TREATでの照射済燃料の過渡照射試験等、燃料設計手法開発や燃料設計基準の整備を行っています。

常陽照射燃料ピン内温度分布解析結果
燃料中心温度の実験値(横軸)と計算値(縦軸)の相関図。JOYOやHBWRでの様々な燃焼度(10GWd/t未満から30GWd/t以上まで)のデータがプロットされており、計算値が実験値と1対1のライン上で非常によく一致していることが示されています。
照射燃料の燃料中心温度計装値と計算結果の比較
燃料カラム軸中央における燃料ピンの2次元解析結果。4つの試験条件(PTM001, 002, 003, 010)について、左側に空孔率の分布と断面組織写真の比較、右側に温度分布のカラーコンター図が並んでいます。各サンプルに対し、O/M比や線出力(LHR)、被覆管外周温度などの詳細なパラメーターが併記されています。
常陽照射燃料の2次元解析結果

高次Pu・MA実験データを用いた炉心設計手法の高度化

高速原型炉「もんじゅ」や高速実験炉「常陽」など、国内外の研究施設で得られた高次Pu・MA実験データを用いて炉心設計手法の高度化を行いました。日露MA協力や日米CNWGにおいて、更なる海外実験データの取得に取り組んでいます。

統合炉定数ADJ2017の開発フロー図。左側に『もんじゅ』や『常陽』のMA実験データ、右側に『ZEBRA』や『ZPPR』などの高次Pu実験データを配置し、これら国内外の豊富な実績を『断面修正法』によって統合することで、これまでにない高精度な設計用炉定数を開発するプロセスが示されています。
主要な核種(Pu-240からCm-244)における核種生成量の不確かさを示す比較グラフ。白い棒(基本核データ)に比べ、青い棒(高次Pu・MA実験データ適用)では、不確かさが大幅に抑制され、解析精度が飛躍的に向上していることが視覚的に示されています。
核種生成量の不確かさの低減