深地層研究計画の状況

平成28年6月の調査研究の状況

平成28年6月24日(金)更新

水圧擾乱試験および物質移行試験のための水理試験

東立坑の坑底(深度380m)から掘削したボーリング孔( 1月15日掲載記事 2月19日掲載記事 3月18日掲載記事 4月22日掲載記事 参照)において、水理試験*1を6月13日より開始しています。
 これは、水圧擾乱試験*2および物質移行試験(原位置トレーサー試験*3)の事前調査のために行っているものです。写真1はボーリング孔内に設置する水理試験装置です。写真2は水理試験装置をボーリング孔内へ挿入する様子です。

*1 水理試験とは…
 岩盤中の水の流れ易さなどを調べる試験です。

*2 水圧擾乱試験とは…
 通常よりも高い注入圧を用いて、一時的な水圧上昇が割れ目の水理特性に与える影響を確認する試験です。

*3 原位置トレーサー試験とは…
 地下水にトレーサー(目印として混ぜる染料やその他の薬品)を流し、地下水の流れの方向や流れる時間などを調べる試験。幌延深地層研究センターでは、トレーサーには一般的な試薬を用い、放射性トレーサーを利用した試験を行うことはありません。

写真1 水理試験装置

写真2 水理試験装置をボーリング孔内へ挿入する様子

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平成28年6月17日(金)更新

平成27年度土木学会論文奨励賞の受賞

平成28年6月10日に東京で開催された、公益財団法人土木学会平成28年度定時総会において、幌延深地層研究センターの職員による投稿論文「 幌延深地層研究の250m調査坑道における掘削損傷領域の経時変化に関する検討 」が平成27年度の論文奨励賞として表彰されました(写真)。
 論文の内容は、250m調査坑道で実施した 弾性波トモグラフィ や比抵抗トモグラフィの結果に基づき、掘削後約2年間にわたる坑道周辺岩盤の損傷状態や飽和度の変化について述べたものです。特に、弾性波速度の低下と壁面に発達した割れ目の密度との定量的な関係を見出し、掘削損傷領域の発達及び経時変化について詳述している点で、高い新規性を有しており、弾性波トモグラフィという簡便な方法で坑道周辺岩盤の損傷の度合いを推定できる点で、高レベル放射性廃棄物地層処分における安全評価手法の高度化に資するための手法として、現場への適用が大いに期待されるといった理由から、論文奨励賞に相応しいと認められました。

写真 土木学会論文奨励賞表彰状と賞牌

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平成28年6月10日(金)更新

人工バリア性能確認試験の試験孔周辺の岩盤損傷に関する研究発表
(日本材料学会第65期学術講演会)

平成28年5月28日に富山大学において、日本材料学会第65期学術講演会が開催されました。幌延深地層研究センターからは、地下施設 深度350m調査坑道(試験坑道4)において施工した、 人工バリア性能確認試験 の試験孔周辺の岩盤の損傷状態の検討を目的として実施した透水試験およびボアホールテレビ*1による割れ目の観察結果について発表しました。今回の発表では、試験孔壁面から約1~2mの範囲にわたって岩盤内に割れ目が発達しており、それに伴い透水性の増大が確認された結果について報告しました。
 本発表は、日本材料学会の岩石力学部門委員会が主催する「岩石力学とその応用」のセッションにおいて実施され、高レベル放射性廃棄物の地層処分や資源開発、斜面防災といった領域の岩石力学分野の研究について、大学や公的研究機関から計12件の発表がありました。

*1 ボアホールテレビとは…
 ボーリング孔の壁面の様子を撮影するカメラです。

写真 発表の様子

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これまでにご紹介した調査研究の状況

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