動力炉開発推進本部次長,国際部担当役が各々兼務した。また,設置当初の具体的業務としては,
 [1]核不拡散に関する動向の調査,分析,評価
 [2]核拡散抵抗性に関する研究
 [3]我が国の核不拡散対応への貢献
 などであった。その後,遠隔監視技術や透明性向上に関する米国エネルギー省との共同研究や核不拡散関連情報のホームページを通じての発信を開始した。
 
2.プルトニウムの工程内滞留問題と核不拡散問題緊急検討委員会
 
(1)経 緯
 冷戦構造の崩壊に伴って,核拡散への懸念が現実性を帯び,世界的に核不拡散対策の重要性が高まる中で,平成6年5月,東海事業所プルトニウム燃料開発施設において約70kgの工程内滞留問題が発生した。
 この工程内滞留問題の経緯は,以下のとおりである。
 ・5月4日,突然,プルトニウム利用には反対の立場をとる米国の核管理協会のレーベンソール所長によるかなり詳細な記者発表。以降,世界のマスコミで広く取り上げられる。
 ・5月17日,米国下院のマーキー議員は「本件と類似のケースが生じた場合,米大統領は日米原子力協定の包括同意を一時停止することができる」とした法案の提出。
 以降,米国国務省,原子力産業界などは本法案反対のための説得工作を進める(当初下院を通過するとの見方が強かった)。
 ・5月23日,朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)がIAEAのダブルスタンダードを批判(北朝鮮の査察問題より動燃の約70kg工程内滞留の方が危険)。
 ・5月25日,IAEAプレス発表
 「工程内滞留のプルトニウムは行方不明ではなく,現在もフルスコープ保障措置下にあり,申告されているものであることは明ら
か,低減策について日本側と協議中」
 ・6月6日,IAEAと科技庁で工程内滞留プルトニウムの低減策について合意
 ・6月6日,IAEA理事会報告
 ・6月8日,米下院の本会議でマーキー法案否決
 ・6月10日,IAEA理事会,北朝鮮制裁決議採択
(2)緊急検討委員会の設置
 この工程内滞留問題は,現実に事業団プロジェクトの柱である「もんじゅ」「常陽」などの計画推進に大きな影響を与える状況にあった。さらに上記経緯からも明らかなように,米国議会の動向によっては,日本の原子力計画全般に大きな影響を与えることにもなりかねなかった。そこで,今後,この種の問題が起こらないように,その対応を検討するため平成6年6月21日の理事会において副理事長を委員長とし,以下を目的とした「核不拡散問題に関する緊急検討委員会」の設置が決定され,核不拡散対策室が事務局を務めることとなった。
 [1]目 的
 冷戦の終結,核兵器解体に伴いプルトニウム利用に関する国際緊張が高まる中で,我が国は「もんじゅ」の臨界によりプルトニウム本格利用時代の幕開けを迎えたが,核不拡散を巡る最近の国内外情勢は急激に厳しさを増しており,こうした中で,プルトニウムリサイクルを主軸とする動燃業務を円滑に推進していくためには,核不拡散に係わる問題点を改めて見直し,IAEAの国際査察を軸にプルトニウム利用の透明性を明確にして適切に対応を進めなければならない。
 このような状況のもとで,現在抱えている緊急の課題に対処するための緊急検討委員会を設け,対応策を策定し,主管部署の早急な実行を促すとともに,基盤の一層の整備・強化を図る。
 [2]検討課題と結果
 この目的に基づき,経営的視点から見た本委員会の緊急検討課題は,以下のとおりとされた。
  )プルトニウム燃料第3開発室(PFPF)工程内滞留量低減化方策の確立
 


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