JAERIマーク 核融合炉用の新燃料供給方法を開発
−ドーナツ状にして炉に打ち込む−
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1998年5月14日

 日本原子力研究所(理事長、吉川 允二)は、国際熱核融合実験炉(ITER)用の 新しい燃料供給方式として、 姫路工業大学(学長、白子 忠男)が開発した「コンパクトトロイド入射装置」 を高性能トカマク試験装置(JFT-2M)に設置して試験研究を行っていたが、ドーナツ状にした多量のプラズマ燃料粒子を超高速で炉内に打ち込むことができる効率的な燃料供給方式であることを確認した。
 核融合炉の自己点火状態を維持するためには、核融合反応によってプラズマ中心部で燃焼する燃料粒子を補給し、 高いプラズマ密度を持続する必要がある。従来の実験ではガス入射や氷状の固定燃料を投入しているが、 ITERのような大きなサイズのプラズマでは、燃料がプラズマの中心部まで届かず燃焼が持続しなくなるおそれがあった。
 そこで原研では姫路工業大学のエネルギー工学講座(教授、宇山 忠男)と協力し、 コンパクトトロイドと呼ばれるドーナツ状プラズマの小さな塊(直径7cm)を生成して、秒速300km(音速の900倍)という超高速に加速する装置を平成9年10月、 JFT-2Mに設置、炉心プラズマの中心部に燃料を直接供給する技術を開発していた。
 このような燃料の本格的な入射実験は世界で初めてだが、1立方センチ当たり2兆個の密度上昇に相当する 3.4×1018個という多量のプラズマ粒子を投入することに成功し、この新方式の実効性を実証した。 今後も燃料の高密度化など入射の最適化実験を行い、粒子供給量の増大やプラズマ中のコンパクトトロイドの振舞いなどを究明し、ITERの燃料供給法を確立することにしている。
 なお、この成果は5月18日−22日に米サンディエゴ市で開かれる「第13回制御核融合装置におけるプラズマ −壁相互作用に関する国際会議」で発表する予定。

参考資料
JFT-2Mの紹介

本件問い合わせ先: 日本原子力研究所 那珂研究所 炉心プラズマ研究部
炉心プラズマ計画室 牛草 健吉
Tel.029-270-7321 Fax.029-270-7419
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