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土岐地球年代学研究所

ヘリウム質量分析装置

岩石に含まれるジルコンやアパタイトという鉱物について、ヘリウム質量分析装置を用いてウラン・トリウム・ヘリウム((U-Th)/He)法による年代測定を実施しています。ジルコンやアパタイトには、極微量のウランやトリウム等の放射性核種が含まれていますが、これらの核種がα壊変を起こすときに放出されるα粒子(ヘリウム)の量を測定することで試料の年代がわかります。ヘリウムは軽い気体なので、温度が高くなると試料中から脱ガスしてしまいます。そのため、(U-Th)/He法による年代測定からわかるのは、試料が最後に熱を受けた時代(熱を受けなくなってどれくらい時間が経過したか)ということになります。例えば、地下の熱水活動の時期や温度を推定したり、断層が活動した際の摩擦熱の影響を測定して断層の活動時期を明らかにしたり、地下の高温領域からどれくらいの時間を掛けて岩石が地表まで運ばれてきたかを調べたりといった目的で使われます。この年代法は1990年代頃から実用化が進められた比較的新しい年代法です。分析には特殊な装置と、高度な分析技術が必要なこともあり、2021年現在、日本では東濃地科学センターのみで分析が行われており、第四紀(約258万年前から現在までの期間を指す)の熱水活動や断層活動、隆起・侵食の評価へ向けた技術開発を行っています。

ヘリウム質量分析装置