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土岐地球年代学研究所

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フィッション・トラック自動計測装置

フィッション・トラック(FT: Fission Track)法と呼ばれる手法を用いて岩石に含まれる鉱物の年代測定を行っています。ジルコンやアパタイトなどの鉱物は、ウラン-238という放射性核種を微量に含みます。このウラン-238は自発核分裂と呼ばれる壊変現象を起こし、二つの核種に分裂することがあります。この時、二つの分裂片が停止するまでの間、鉱物の構造が乱されるため、直線状の傷(飛跡)ができます。この傷はFTと呼ばれています。自発核分裂という現象は、ほぼ一定の頻度で起きることが知られているため、鉱物中にできた傷を数えることでその鉱物の年代を知ることができます。FT年代測定法は、1960年代に実用化され世界的に広く普及した手法ですが、分析の効率化を目指して2000年代後半から画像処理技術を利用した自動計測装置が開発されてきました。2021年現在、日本では東濃地科学センターのみがこの装置を利用した分析を行っています。また、FTは一定温度・期間以上の熱を受けると短縮・消滅するというユニークな特徴を持ちます。したがって、FTの数だけでなく長さの情報を取得することで、鉱物が経験してきた温度の履歴を高精度に推定することができます。このように、FT法は温度変化を伴う現象を推定することができるため、摩擦熱を仮定した断層の活動時期の推定や、地下の熱水活動の時期や温度、地下深くの高温の岩石が低温の地表まで運搬されるまでに被った隆起・侵食の期間などについて調べることができます。

フィッション・トラック自動計測装置(Autoscan Systems: Trackscan Plus Professional)