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土岐地球年代学研究所

元素分析装置(EA)

元素分析装置( vario MICRO Cube, Elemental Analyzer; EA)により、地質試料中の炭素、窒素、硫黄等の濃度を測定することができます。特に、試料中の有機炭素濃度もしくは無機炭素濃度を事前に把握しておくことで、放射性炭素年代測定の試料前処理を行う際に必要な試料量を適切に調整することが可能になります。また、有機炭素と窒素との比(TOC/TN比)を用いて、放射性炭素年代測定の対象なる有機物試料の供給源の推定も行われています。さらに、硫黄と有機炭素との比(TS/TOC比)からは、堆積物試料が形成された当時の酸化還元環境に関する情報も得られます。EA装置は、主に試料導入部であるオートサンプラー、燃焼管、還元管、水吸収管、ガス分離用充填カラム、熱伝導度型検出器で構成されています。EA装置に導入された試料は、約800~1000℃に加熱した燃焼管内で燃焼・酸化され混合ガスとなります。分析し易くするため、還元銅を充填した還元管に混合ガスを通過させることで、窒素酸化物(NOx)を窒素ガス(N2)に、硫黄酸化物(SOx)を二酸化硫黄(SO2)に還元します。次に充填カラムでガスを分離し、熱伝導度型検出器でそれぞれのガスを検出します。濃度既知の標準試料で作成した定量分析用の検量線を用いて、試料中の炭素、窒素、硫黄等の濃度を算出することができます。また、本装置では、測定後の二酸化炭素を非破壊で回収することができます。したがって、EAと安定同位体比質量分析装置(IRMS)とを接続することで、EA-IRMS装置としてオンラインでの安定同位体比測定が可能です。さらに、EAと自動グラファイト調整装置(AGE3)とを接続することで放射性炭素年代測定の前処理装置としても活用することができます。

元素分析装置(Elementar, vario MICRO Cube)