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土岐地球年代学研究所

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安定同位体比質量分析装置(IRMS)

安定同位体比質量分析装置(Isoprime 100, 及びIsoprime precisION, Isotope Ratio Mass Spectrometer; IRMS)を用いて、地質試料の炭素、窒素、硫黄、酸素、水素等の安定同位体(同位体のうち、自然界で放射能を放出しないもの)比を測定しています。放射性炭素年代測定を行う際には、対象となる試料の供給源を把握しておくことが重要です。例えば、一部の水生植物中の放射性炭素濃度は、大気中の二酸化炭素と比べて低い値になることが知られています(実際より古い年代を示す)。したがって、安定炭素同位体比(d13C)を測定し、水生植物の混入の有無を推測しておくことが重要です。窒素同位体比(d15N)からも有機物の供給源や、過去の酸化還元環境の推移に関する情報を得ることができます。供給源を推定することで適切な試料を選別できるようになります。さらに、同位体比から有機物の混合割合を算出し適切に年代値を補正することで、より正確な地質試料の年代測定が可能になります。また、硫黄同位体比(d34S)からは過去の酸化還元環境の推移について、水素・酸素同位体比(dD・d18O)からは水の供給源や過去の環境の変化に関する情報が得られます。IRMS装置は、主に試料導入部、イオン源、質量分析部(マグネット)、検出器で構成されています。IRMS装置には、AMSでの分析の前処理過程で使用するガラス製真空ラインで、単離してガラス管に封入した二酸化炭素試料や、元素分析装置(EA)で生成したガス試料を導入します。IRMS装置に導入されたガス試料を装置内でイオン化し、加速した各分子イオンを質量分析部で分離します。次に各分子イオンを個々のファラデーカップで検出し同位体比を算出します。安定炭素同位体比測定の場合、炭素量で数10?100マイクログラム程度あれば分析可能です。

安定同位体比質量分析装置(Isoprime, Isoprime 100) 安定同位体比質量分析装置(Isoprime, precisION)