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超深地層研究所計画

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トピックス

深度500m研究アクセス北坑道の調査研究

ポイント
  • 深度500m研究アクセス北坑道において、B級~CM級岩盤からなる比較的割れ目の多いゾーンはENE走向の割れ目帯を形成し、A級~B級に区分される割れ目の少ないゾーンが北側にいくほど広がりを持って分布していることがわかりました。
  • 透水係数は、湧水を伴う割れ目を対象とした試験区間では1.0E-06(m/sec)程度、湧水を伴わない割れ目を対象とした区間では1.0E-09(m/sec)程度、割れ目のない区間では1.0E-11(m/sec)程度であることがわかりました。実施した水理試験の平均値は1.0E-08(m/sec)程度であり、既往の水理試験結果から得られた平均的な値(1.0E-08(m/sec))とほぼ同程度でした。
概要

瑞浪超深地層研究所では、深度500mステージ研究アクセス北坑道において、坑道の掘削及び坑道の冠水に伴う坑道周辺の地下水の水圧・水質変化の把握や岩盤のひずみを観測するためにボーリング孔を掘削し、観測装置を設置しています。

平成24年度には斜坑及び冠水坑道の掘削に伴う変化を把握するため、坑道を掘削する前に12MI33号孔(水圧・水質観測孔)を掘削し観測装置を設置しました。平成25年度には今後計画している冠水坑道の冠水に伴う変化を観測するため、斜坑及び冠水坑道の掘削後に水圧・水質観測孔として13MI38号孔と13MI39~41号孔、岩盤ひずみ観測孔として13MI42~44号孔、埋戻し材周辺の水質観測孔として13MI45~48号孔を掘削し、それぞれ観測装置を設置しました。平成26年度には継続して観測を行っています。

内容

ボーリング孔掘削では、各種情報(地質学的、水理学的、地下水の地球化学的情報)の取得を目的として、次の調査を行いました。

表1 ボーリング調査内容
調査名 調査目的
ボーリングコア観察 ボーリング掘削により採取したコアを観察して地質学的情報(岩相、組織、鉱物と粒径、岩盤分類、割れ目密度、割れ目充填鉱物等)を得ます。また断層があれば断層の分布状況、周辺岩盤の割れ目や変質状況を把握します。
ボアホールテレビ観察(BTV観察) 掘削した孔壁全周の展開画像により壁面情報(割れ目の位置・方位・開口幅・形状、貫入岩脈の位置・方位等)を連続的かつ詳細に把握します。
孔径検層 ボーリング孔の裸孔径を測定し、孔径拡大箇所(変質箇所、逸水・湧水層等)を把握します。
電磁フローメータ検層 流量、流速、孔内水比抵抗、孔内水温度を測定し、逸水・湧水層の検出を行います。
音波検層 P波速度を測定し、岩盤の健岩性を把握します。
水理試験 湧水量、湧水遮断後の回復圧力の経時変化を計測して、水理学的情報(湧水箇所,湧水量,湧水圧,透水係数等)を把握します。
地下水の分析 湧水を採水し、電極法によりpH、電気伝導度、温度、溶存酸素濃度、酸化還元電位を測定する他に、化学分析を行います。

平成24年度と平成25年度で実施したボーリング調査やアクセス北坑道掘削時の壁面観察結果等からアクセス北坑道周辺の岩盤強度の分布状況を推定すると図7のようになります。

13MI38号孔の25~63mabh付近で確認したB級~CM級岩盤からなる比較的割れ目の多いゾーンは、アクセス北坑道から、12MI33号孔、13MI44号孔まで連続して確認でき、これらはENE走向の割れ目帯を形成しています。

また、0~25mabhおよび66~102mabhのA級~B級に区分される割れ目の少ないゾーンは壁面観察や別途実施したボーリングでも観察されており、割れ目低密度帯が北側にいくほど広がりを持って分布していることがわかりました。

水理試験

13MI38号孔の間隙水圧分布は、NO.1の深度6.5~11.0mabh付近の湧水割れ目を含む区間と、NO.6の90.0mabh以深の湧水割れ目を含む区間でGL-118~-126mと比較的高い水頭を持ちますが、11.0~90.0mabh間の水頭はGL-250m以下とNO.1、NO.6より130m以上も低くなります。

ボーリング孔は冠水坑道と平行して掘削しており、全6区間とも坑道壁面との距離は最大でも10~15mであるため、水頭の低い区間は坑道に通じる亀裂を介して圧力が抜けていることが推定されます。

透水係数は、湧水を伴う割れ目を対象とした試験区間では1.0E-06(m/sec)程度、湧水を伴わない割れ目を対象とした区間では1.0E-09(m/sec)程度、割れ目のない区間では1.0E-11(m/sec)程度でした。実施した水理試験の平均値は1.0E-08(m/sec)程度であり、既往の水理試験結果から得られた平均的な値(1.0E-08(m/sec))とほぼ同程度でした。

この記事のより詳しい内容はこちらをご覧ください。

図1. 冠水坑道周辺のボーリング孔位置図と観測内容
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図2. 冠水坑道周辺の岩級分布図
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図3. 間隙水圧換算水位の深度分布
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図4. 水理試験結果
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