3_2_3 安全対策と安全管理
達成目標

坑道内作業時の安全な作業環境の確保や坑内環境を安全な状態で維持管理すること,関係者の入坑時の安全を確保することを目標とします。

瑞浪超深地層研究所における実施例1), 2)

埋め戻し開始時点で,安全対策として,坑内設備(換気設備,給気設備,避難所),坑内管理システム(入出坑管理システム,坑内環境管理システム,坑内火災監視システム,坑内通信監視システム)を設置し,運用しています(2_1_7)。坑内設備のうち換気設備,給気設備は埋め戻しの進捗に合わせ順次盛り替え,坑内システムの坑内センサーは順次撤去していきます1)

1.坑内設備の運用

瑞浪超深地層研究所では,坑道掘削時に検討した坑内設備を設置し,運用しています。検討では通気網解析を用いた火災時解析による火災ガスの挙動の予測を行いました2)。この結果にもとづき,各予備ステージに避難所を設置するレイアウトとするとともに,換気設備(主立坑,換気立坑それぞれ地上から坑内への送気ファン,坑内局所ファン)や避難所への給気設備,消火設備(消火器,スプリンクラー)を設置しました。これらの設備を埋め戻し作業においても継続して運用します。

2.坑内管理システムの運用

坑内管理システムについては,以下の項目を坑道掘削時に構築,設置し,埋め戻し作業においても継続して運用します(図1)。

・入出坑管理システム
入坑者が専用PHS端末を所持することにより,入坑者数や位置が把握でき,災害発生時における避難誘導のための連絡ができます。PHS端末は,入坑者全員が所持することとしています。
・坑内火災監視システム
坑内の火災発生を速やかに検知し,警報通報設備により入坑者に非常事態の発生を知らせると同時に,避難所への誘導を行います。このシステムの坑内センサーとして,一酸化炭素濃度センサー,煙検知センサーが設置されています。
・坑内環境管理システム
坑内環境を把握することを目的として,温湿度,圧力,酸素,メタン濃度の各センサーにより坑内環境を計測,把握することができます。各センサーの計測値が管理目標値を超えた場合には,中央監視室のモニター上で異常状態が表示されます。
・坑内通信監視システム
坑内外主要箇所における通話およびWebカメラにより画像監視ができ,中央監視室のモニター上に表示されます。この画像表示とPHS設備により入坑者との連絡手段を確保しています。また,故障によりPHSシステムが使用できない場合に備えて,固定電話を坑内外に設置しています。
この図は,坑道掘削時に構築,設置し,埋め戻し作業においても継続して使用される,運用坑内管理システムのモニター表示画面の写真。本システムは,入出坑管理システム,坑内火災監視システム,坑内環境管理システム,坑内通信監視システムから構成される。
図1 坑内管理システムのモニター表示画面の例
参考文献
  1. 核燃料サイクル開発機構 (2005): 高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する知識基盤の構築-平成17年取りまとめ-,-分冊1 深地層の科学的研究-,核燃料サイクル開発機構,JNC TN1400 2005-014,415p.
  2. 坂井哲郎,萩原育夫,佐藤稔紀,見掛信一郎 (2003): 深地層の研究施設における通気・防災上の検討,資源と素材2003 春季大会講演集 (I) 資源編,No.3204,pp.114-115.

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