3_2_2 施工計画・管理
達成目標
坑道埋め戻しにおいて,坑道(立坑,水平坑道など)の形状,構造(覆工コンクリート,吹付けコンクリート,鋼製支保工,ロックボルト,裏面排水材など)を考慮し,施工管理を含む,坑道の埋め戻し後の用途や工程の条件を満たすことができる施工計画を立案することを目標とします。
瑞浪超深地層研究所における実施例
坑道埋め戻しについては,埋め戻し方法(立坑,水平坑道),排水方法を,管理については,埋め戻し材の品質管理,出来形管理,排水処理設備の維持管理(排出水の水質管理)を検討します。
瑞浪超深地層研究所の坑道埋め戻しについては,以下の項目を計画として立案しました。
- 埋め戻し方法(立坑,水平坑道)(図1)

立坑は地上からキブル(立坑部の資機材運搬設備)により埋め戻し材を立坑坑底(埋め戻し面)まで運搬し,バックホウ,振動コンパクターを用いて巻出し,敷き均し,転圧を行います。
水平坑道は地上からキブルにより埋め戻し材を立坑坑底まで運搬し,キャリアダンプ,バックホウを用いて立坑坑底から埋め戻し面まで運搬し,バックホウ,振動コンパクターを用いてまき出し,敷き均し,転圧を行います。
埋め戻しの手順は,最深部(深度500m)の水平坑道端部から埋め戻しに着手し,水平坑道の埋め戻し完了後,立坑の埋め戻しを行います。
- 排水方法(図2)

水平坑道の埋め戻し作業時は,両立坑坑底に排水ポンプを設置し,地上まで揚水します。
立坑の埋め戻し作業時は,両立坑坑底の埋め戻し面から約1m下部に排水ポンプを設置し,地上まで揚水します。立坑埋め戻し作業の進捗に伴い,埋め戻し面が上昇するのに合わせて排水ポンプを移動させ地上まで揚水します。
施工時の管理については,主に以下の項目の確認を行います。
- 埋め戻し材の品質管理:堆積場掘削土の粒径,購入砂の土質試験結果を確認
- 埋め戻し出来形管理:立坑50mごと,水平坑道50mごとに巻出し厚30cm以下を確認
- 排水処理設備維持管理:排出水などの水質,湧水量,放流量,排水処理薬剤使用量を確認
研究坑道の湧水には,自然由来のふっ素およびほう素が環境基準を超える濃度(ふっ素3.5~10mg/L,ほう素0.57~1.8mg/L)で含まれていることから,岐阜県および瑞浪市と原子力機構の間で締結している「瑞浪超深地層研究所に係る環境保全協定」にもとづき,環境基準に適合する濃度(ふっ素0.8mg/L,ほう素1mg/L)まで排水処理を行い,河川に放流しています。河川への放流水(排出水),放流先河川水の管理目標値および湧水の参考値を表1に示します。
測定項目 | 法令に基づく 規制基準 |
管理目標値 | |
---|---|---|---|
水質汚濁 (排出水) |
水素イオン濃度 | 5.8~8.6 | 6.5~8.5 |
浮遊物質量 | 90(日間平均70)mg/L以下 | 25mg/L以下 | |
カドミウム | 0.03mg/L以下 | 0.003mg/L以下 | |
全シアン | 1mg/L以下 | 検出されないこと | |
有機燐化合物 | 1mg/L以下 | 検出されないこと | |
鉛 | 0.1mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | |
六価クロム | 0.5mg/L以下 | 0.05mg/L以下 | |
砒素 | 0.1mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | |
総水銀 | 0.005mg/L以下 | 0.0005mg/L以下 | |
アルキル水銀 | 検出されないこと | 検出されないこと | |
PCB | 0.003mg/L以下 | 検出されないこと | |
トリクロロエチレン | 0.1mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | |
テトラクロロエチレン | 0.1mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | |
四塩化炭素 | 0.02mg/L以下 | 0.002mg/L以下 | |
ジクロロメタン | 0.2mg/L以下 | 0.02mg/L以下 | |
1,2-ジクロロエタン | 0.04mg/L以下 | 0.004mg/L以下 | |
1,1,1-トリクロロエタン | 3mg/L以下 | 1mg/L以下 | |
1,1,2-トリクロロエタン | 0.06mg/L以下 | 0.006mg/L以下 | |
1,1-ジクロロエチレン | 1mg/L以下 | 0.1mg/L以下 | |
シス-1,2-ジクロロエチレン | 0.4mg/L以下 | 0.04mg/L以下 | |
1,3-ジクロロプロペン | 0.02mg/L以下 | 0.002mg/L以下 | |
チウラム | 0.06mg/L以下 | 0.006mg/L以下 | |
シマジン | 0.03mg/L以下 | 0.003mg/L以下 | |
チオベンカルブ | 0.2mg/L以下 | 0.02mg/L以下 | |
ベンゼン | 0.1mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | |
セレン | 0.1mg/L以下 | 0.01mg/L以下 | |
硝酸性窒素および亜硝酸性窒素 | ― | 10mg/L以下 | |
ふっ素 | 8mg/L以下 | 0.8mg/L以下 | |
ほう素 | 10mg/L以下 | 1mg/L以下 | |
アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物および 硝酸化合物 |
1Lにつきアンモニア性窒素に0.4を乗じたもの、亜硝酸性窒素 および硝酸性窒素の合計量100mg |
― | |
1,4-ジオキサン | 0.5mg/L以下 | 0.05mg/L以下 |
測定項目 | 管理目標値 | |
---|---|---|
水質汚濁 (放流先河川水) |
水素イオン濃度 | 6.5~8.5 |
浮遊物質量 | 25mg/L以下 | |
カドミウム | 0.003mg/L以下 | |
全シアン | 検出されないこと | |
鉛 | 0.01mg/L以下 | |
六価クロム | 0.05mg/L以下 | |
砒素 | 0.01mg/L以下 | |
総水銀 | 0.0005mg/L以下 | |
アルキル水銀 | 検出されないこと | |
PCB | 検出されないこと | |
トリクロロエチレン | 0.01mg/L以下 | |
テトラクロロエチレン | 0.01mg/L以下 | |
四塩化炭素 | 0.002mg/L以下 | |
ジクロロメタン | 0.02mg/L以下 | |
1,2-ジクロロエタン | 0.004mg/L以下 | |
1,1,1-トリクロロエタン | 1mg/L以下 | |
1,1,2-トリクロロエタン | 0.006mg/L以下 | |
1,1-ジクロロエチレン | 0.1mg/L以下 | |
シス-1,2-ジクロロエチレン | 0.04mg/L以下 | |
1,3-ジクロロプロペン | 0.002mg/L以下 | |
チウラム | 0.006mg/L以下 | |
シマジン | 0.003mg/L以下 | |
チオベンカルブ | 0.02mg/L以下 | |
ベンゼン | 0.01mg/L以下 | |
セレン | 0.01mg/L以下 | |
硝酸性窒素および亜硝酸性窒素 | 10mg/L以下 | |
ふっ素 | 0.8mg/L以下 | |
ほう素 | 1mg/L以下 | |
1,4-ジオキサン | 0.05mg/L以下 |
測定項目 | 参考値 | |
---|---|---|
水質汚濁 (湧水) |
カドミウム | 0.003mg/L以下 |
全シアン | 検出されないこと | |
鉛 | 0.01mg/L以下 | |
六価クロム | 0.05mg/L以下 | |
砒素 | 0.01mg/L以下 | |
総水銀 | 0.0005mg/L以下 | |
アルキル水銀 | 検出されないこと | |
PCB | 検出されないこと | |
トリクロロエチレン | 0.01mg/L以下 | |
テトラクロロエチレン | 0.01mg/L以下 | |
四塩化炭素 | 0.002mg/L以下 | |
クロロエチレン (別名塩化ビニル又は塩化ビニルモノマー) |
0.002mg/L以下 | |
ジクロロメタン | 0.02mg/L以下 | |
1,2-ジクロロエタン | 0.004mg/L以下 | |
1,1,1-トリクロロエタン | 1mg/L以下 | |
1,1,2-トリクロロエタン | 0.006mg/L以下 | |
1,1-ジクロロエチレン | 0.1mg/L以下 | |
1,2-ジクロロエチレン | 0.04mg/L以下 | |
1,3-ジクロロプロペン | 0.002mg/L以下 | |
チウラム | 0.006mg/L以下 | |
シマジン | 0.003mg/L以下 | |
チオベンカルブ | 0.02mg/L以下 | |
ベンゼン | 0.01mg/L以下 | |
セレン | 0.01mg/L以下 | |
硝酸性窒素および亜硝酸性窒素性窒素 | 10mg/L以下 | |
ふっ素 | 0.8mg/L以下 | |
ほう素 | 1mg/L以下 | |
1,4-ジオキサン | 0.05mg/L以下 | |
水素イオン濃度 | ― | |
塩化物イオン | ― |