1_8_2 地表地質図と地質構造モデル
達成目標
サイトスケール領域の詳細な地質・地質構造のモデル化にあたっては,ローカルスケール領域における地質構造モデルからサイトスケール領域を切り出すだけでなく,これまでの調査で得られた既存情報を再整理・再解釈することが重要です。ここでは,既存情報に基づき,サイトスケールを対象とした地表地質図および地質構造モデルを作成することを目標とします。
方法・ノウハウ
①地質・地質構造の座標データの取得:
ローカルスケール領域において構築した地質構造モデルから,サイトスケール領域でも考慮する必要がある地下水流動に影響を与える地質・地質構造の三次元位置座標を抽出します。
②地質・地質構造の三次元分布の再検討:
既存情報およびその解釈に基づき,サイトスケール領域における地質構造の三次元分布を再検討します。具体的には,スケールの詳細化に伴う地質・地質構造要素の細区分や新たな要素の抽出を検討し,サイトスケール領域において特徴的な地質・地質構造の有無を確認します。
東濃地域における実施例
ローカルスケール領域を対象に構築した地質構造モデルに基づき,サイトスケール領域における地質構造モデル(1_7のステップ0)を作成しました1)(図1)。
- ローカルスケール領域において抽出した重要な岩盤の不均質性として,土岐花崗岩と瑞浪層群の不整合面,土岐花崗岩中の風化帯/上部割れ目帯/下部割れ目低密度帯の三次元位置座標を抽出しました。また,スケールの詳細化に伴い,瑞浪層群中の各地層(生俵層/明世層/本郷層/土岐夾炭層)を細区分して地質構造モデルを構築しました。
- サイトスケール領域において特徴的な地質・地質構造として,土岐花崗岩と瑞浪層群の不整合面が起伏に富む分布をしていることを確認しました2)(図2)。
- リニアメント判読(1_8_1)で把握したリニアメントは,断層などの不連続構造を反映した可能性があると考えられたものの,この段階(ステップ0)ではその直接的な判断が困難であったため,不連続構造は月吉断層のみを対象としてモデル化を行いました。


参考文献
- 太田久仁雄,佐藤稔紀,竹内真司,岩月輝希,天野健治,三枝博光,松岡稔幸,尾上博則 (2005): 東濃地域における地上からの地質環境の調査・評価技術,核燃料サイクル開発機構,JNC TN7400 2005-023,373p.
- 大澤英昭,中野勝志,茂田直孝 (2002): 東濃地域における地質環境特性に関する調査研究 -地表からの調査研究の考え方と進め方-,核燃料サイクル開発機構, JNC TN7410 2002-008,37p.