地質環境の長期安定性に関する研究
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FAQ
Q.隆起・沈降の速さは変化しますか?
A.隆起・沈降の速さは将来10万年間程度で大きく変化する可能性は低いと考えられます。
過去数十万年間にわたって、隆起・沈降の速さはほとんど変化しなかったと考えられています。よって、今後10万年間程度の期間で隆起・沈降の速さが変化する可能性は低いと考えられます。
図1 海岸段丘の年代と高度からみた隆起速度(核燃料サイクル開発機構,1999)
形成年代の異なる数段の海岸段丘面の高度から推定される隆起速度の変化は、東北地方北部の太平洋岸および四国の南岸地域などで明らかにされており、数十万年間、隆起速度がほとんど変化していなかったことが分かっています(図1) 。また、沈降速度については、日本各地の堆積盆地において、堆積層の年代と厚さから過去1500~500万年間の速度変化が明らかにされています(図2)。その結果によると、最近数100万年間では、各堆積盆地の沈降速度はあまり変化していないことが分かります。以上のように、隆起・沈降ともに、少なくとも過去数十万年間はほぼ一様な速度で変動してきたと考えられることから、今後10万年程度は同様な変動が続いてゆく可能性が高いと類推されます。
[文献]
核燃料サイクル開発機構(1999):わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-地層処分研究開発第2次取りまとめ- 分冊1 わが国の地質環境,サイクル機構技術資料,JNC TN1400 99-021,p.II-137-139.
小池一之,町田 洋編(1999):日本の海成段丘アトラス,東京大学出版会,105p.