所長挨拶

大洗研究所 所長 塩月 正雄
大洗研究所長
吉武 庸光

大洗研究所は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(原子力機構)における主要な研究開発拠点のひとつであり、原子力機構の前身である日本原子力研究所と動力炉・核燃料開発事業団がそれぞれ1967年4月、1970年3月に茨城県大洗町の地で業務を開始したことに始まる50年以上にわたる歴史と研究実績を有する研究所です。
  当研究所の特徴は、次世代革新炉と呼ばれる未来の原子炉を作るための技術開発を開設当初より一貫して行ってきたことであり、国際的にも次世代革新炉研究の中核拠点として知られています。
  次世代革新炉は、日本が目指すエネルギーの多様性確保や温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル社会の実現に向けて期待されている技術であるとともに、原子力機構が未来社会の実現のために目指す3つの柱、
①原子力と再生可能エネルギーの長所短所を補完し合い相乗効果(synergy)を引き起こすこと
②放射性廃棄物やエネルギー資源の問題を解決し、原子力自体を持続可能なもの(sustainable)にすること
③エネルギー分野のみならず、社会を支えるあらゆる分野への原子力の適用可能性を追求し、原子力技術を多様化(ubiquitous)させること
を実現させるために必要な技術となります。
  当研究所では、この次世代革新炉である高温ガス炉HTTR(高温工学試験研究炉)、高速実験炉「常陽」及び関連する照射後試験施設等の研究施設を活用し、国の政策の下で高速炉の研究開発、高温ガス炉とこれによる熱利用技術の研究開発等を実施しています。また、今後高速実験炉「常陽」の特徴を活かして医療用ラジオアイソトープ製造に向けた技術実証にも取り組む計画です。このほか、これまでに培った研究実績や研究施設を最大限に活用し、福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた研究開発や国内外の人材育成への貢献を行うとともに、所期の役目を終えた原子力施設の廃止措置や放射性廃棄物管理を含む環境技術開発も進めています。
  私たちは、安全確保の徹底を業務運営の大前提とし、地域の皆様との共生に努めつつ、原子力科学技術を通じて人類社会の福祉と繁栄に貢献するという原子力機構の使命を果たすべく研究開発に果敢に挑戦してまいります。今後とも、皆様のご指導、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

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