東京電力福島第1原子力発電所での事故以来、身近な場所での放射線測定に関心が高まっています。放射線測定のためには、放射線を測定する機器が必要ですが、専門家が使うような高価で高精度のものから、海外からの輸入品などのように量販電気店などで安価に手に入れられるものまで様々なタイプのものがあります。
これらの測定機器については、同じ場所で測定しても表示の数値が違う、などといった報道が見られるようになり、精度への信頼性が高まっています。また、測定数値の安全面での受け止めや理解の仕方に戸惑う報道もあります。
原子力科学研究所には、高い精度で放射線量を測定できる放射線検出技術やエレクトロニクス技術をもった放射線測定の専門家たちがいます。これらの専門家たちが、放射性セシウムなどからのγ線放射線量を正確に測定できる方法の開発や測定時の雑音(ノイズ)の低減に取り組み、メーカーの製品化に協力しています。
測定結果を分かりやすく表示する放射線量モニターを製品化
家庭用放射線メータ
原型器からいろいろな技術改良を重ねてきましたが、電子計測機器関連企業によって製品化が実現しました。オシロスコープのパイオニアである岩通計測(株)は岩崎通信機株式会社の100%子会社で、さまざまな電子計測機器や計測システムを開発・製造・販売しているメーカーです。
しかし、東日本大震災以降、需要の高まっている放射線量モニターは製造していませんでした。同社では、原子力機構の特許技術と技術移転等を活用することで、短期間でハンディタイプの放射線量モニターを製品化することに成功しました。
放射線量モニター SV-2000