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高エネルギー準単色中性子校正場の開発

概要pageTop

高エネルギー準単色中性子校正場の整備をするためには、先ず、校正対象となるエネルギーから外れたエネルギーを持つ中性子による寄与をどのように補正すべきかという、補正法に関する校正技術を確立する必要があります。そこで、液体シンチレータ検出器などを用いてビームのコリメータによる室内散乱線の測定を行うことにより散乱中性子成分の評価を行います。次に、校正の精度評価に不可欠な照射野内の中性子強度分布を詳細に知る必要があります。そこで、イメージングプレートと高密度ポリエチレンコンバータとの組み合わせによりビームプロファイルのデータを収集します。


写真1:液体シンチレータによる測定


写真2:イメージングプレート(IP)による測定

成果pageTop

平成15,16年度は、照射野の強度分布についてイメージングプレートをポリエチレンコンバータと組み合わせて測定を行いました。また、グラファイトコンバータ付きシリコンPINフォトダイオードでの測定と合わせて、照射野の直径がコリメータ出口の直径とターゲットからコリメータ出口までの距離から幾何学的に得られる値との良い一致が得られました。 また、有機液体シンチレータ(BC501A)と光電子増倍管からなる液体シンチレータ検出器を用いてTOF法によるピークエネルギーの測定を行い、さらに、液体シンチレータの応答関(SCINFUL-CGによるもの)を用いてのアンフォールディング(FORISTコード)によりエネルギースペクトルを得るために波高分布の測定も行いました。併せて散乱成分の寄与を調査するために、ビームライン上から離れた位置(照射野外)での室内散乱中性子線の測定も数点測定を行いました。


図2:将来的な国際相互比較を考えた時の基準エネルギー候補点
(TIARAのエネルギー値は、M.Baba et. al.,NIM A428 (1999) 454-465 より、
UCLのエネルギー値は、H.Schuhmacher et. al., NIM A421(1999) 284-295 より)

今後の予定pageTop

将来の国際相互比較の実施に向けて、TIARAにおいて50MeV, 65MeV, 80MeV陽子により生成する準単色中性子のピークエネルギー3点を基準エネルギー点候補として整備を進めてゆく予定であり、校正場のクオリティーの評価と校正技術の確立のために必要な特性評価を行う予定です。これらの特性評価により、良質で利用価値の高い国内外でも代表的な高エネルギー準単色中性子校正場への整備を進めてゆくことができます。ひいては、人体への線量寄与の大きい高エネルギー領域の中性子に対する放射線防護用測定器の校正を通して、国内外で進められている大強度陽子加速器計画において、作業者及び公衆の安全確保に大きく貢献します。


表1 熱中性子フルエンス率

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