環境中の核物質などの極微量分析とそのために研究・開発を行うクリーンルーム施設です。この施設においては、国際原子力機関(IAEA)による保障措置※)の強化・効率化計画に対応するため、原子力施設に対する査察等で採取された環境試料中のウランやプルトニウムの同位体組成を分析する技術を開発します。
また、包括的核実験禁止条約(CTBT)の遵守検証のための実験施設として使用し、さらに、環境中の極微量元素の移行挙動などを解明する研究施設としても活用します。クリーンルーム | 16部屋 |
フード | 28台 |
一般の半導体工業用クリーンルームと異なり、腐食性の高い酸などを扱った環境試料の化学処理や標準物質としての核燃料物質(ウランやプルトニウム)が使用できる、日本で初めての大型クリーンルーム施設です。高性能エアフィルターにより清浄な空気が供給されるため、採取された試料及び分析機器に対する自然界からの汚染物質の混入を防ぐことができ、放射性物質等の極微量分析が可能となります。
※) 保障措置:原子力の平和利用を確保するため、核物質が核兵器に転用されていないことを検認すること。
化学処理エリアでは、試料の前処理、分離・精製、試薬の調製などを行います。機器分析エリアには各種分析機器を整備し、同位体組成比分析や核種分析などを行います。サービスエリアに分析機器へのユーティリティ系などの発塵のおそれのある機器を配置しています。
高性能フィルタを通し清浄空気を室内に供給し、FFU(浄化送付装置)により繰り返しろ過しています。また、外界からの汚染防止のため室内は正圧を維持し、清浄度に応じて気圧差を設けています。
空気1ft3中に含まれる0.5mm以上の粒子の個数の上限です。清浄度が管理されていない一般居室などの環境では、100万個以上の粒子が存在することもあります。